りょーち的おすすめ度:

こういうデタラメな小説は大歓迎っす。
本書、図書館戦争は「近未来恋愛戦争オモシロ小説」である。
作風がなんだか三崎亜記の「となり町戦争」っぽいが「となり町戦争」を「静」とすれば「図書館戦争」は「動」。その「動」を生み出しているキャラが本書の主人公の笠原郁である。笠原郁なくして図書館戦争はありえないであろう。そしてこの本は全ての本好きの方々に受け入れられるのではなかろーか?
舞台はいまよりちょっと先の話し。「メディア良化法」という怪しげな法律がなし崩し的に閣議決定され、「メディア良化委員会」による度を越えた検閲が蔓延っていた。その検閲たるや戦時中の日本同様の恐ろしさである。出版物を世の中に送り出すためにはメディア量化委員会の検閲がクリアになったものしか出版できない。少しでも犯罪を助長する文章が含まれていたならば世の中にその本は出版されないのである。
この「メディア良化法」のすきまを縫って出来た法律が「図書館の自由法」という法律である。「メディア良化委員会」が武装を強固にしていく中で図書館側も次第に武装度合いを増していく。そして図書警備隊なる自衛組織が生み出されていくのだ。
そして、本書の主役の笠原郁という少女は、この図書警備隊に自ら志願し、配属される運びとなる。
郁は身長170cmと女性にしてはかなり恵まれた(?)体格をしており、そこいらの男連中には体力では簡単には負けない。郁が図書防衛員を志願した理由としては郁が高校生の頃に購入しようとしていた本を良化特務機関に取り上げられそうになった際、一人の図書防衛員に助けられたことが直接のきっかけであった。
苛烈を極める図書警備隊と良化特務機関の戦いの結果は如何に?
って感じで書くと非常にお堅い小説っぽいのであるが、内容は爆笑につぐ爆笑。有川浩、素晴らしいっす。
郁の真っ直ぐな直球ど真ん中ストレート的な男勝りな性格。「脊髄で物を考える」という小説中の比喩が郁の全てを語っているといっても良い。全てにおいて郁と対照的で、何をやっても完璧で、出来損ないに思える郁を嫌悪していた手塚。郁の同期で男性隊員に人気がある柴崎(柴崎の突き放すよーな郁へのアドバイスも必見)。郁の男性版とも言える熱い教官の堂上。彼らの織り成す会話のひとつひとつがいちいち面白い。
特に郁。非常に分かりやすいキャラクターとして書かれており、生まれながらにして正義の味方の才能を持っている。どのエピソードが面白いというよりも彼らの会話、動作の全てが楽しめる。個人的には「熊殺し」のエピソードはかなり爆笑した(是非読んでみてね)。しかし、彼らが身をおく場所は死者も出る可能性のある図書館である(うーむ)。
また、本書では言論の自由についても考えさせられる。最近あまり見かけなくなっていたが地方の駅前には必ずと言っていいほど「有害図書はこちらへ入れてくれ」的なボックスがあり、幼心に「あの箱には何が入っているんだろう」と思い、ちょっと大人になるにつれ、「あの箱にはムフフな本が入っているにちげえねえ」と思って興味本位で覗いてみたりとアホなことをしておったが、人間、ダメといわれるとやりたくなる生き物である。「北風と太陽」の北風のよーなメディア良化委員会のやり口は歓迎されないだろうなあ。
まあ、一粒で何度も美味しい小説である。
この本がもし映像化されるよーなことがあったらと思い、勝手にキャストを考えてみた。
郁 :でかいだけなら山田優とかになるのか?身長を考慮しなければ仲間由紀恵とか無難であろう。
堂上:内藤剛志?
柴崎:柴崎コウ(マジ?)
手塚:松田龍平(ちょいクールな感じで)
うーむ、ダメ?
本書を読むまでこの「有川浩」さんという作家の方を存じ上げなかったのだが、あなた、凄いっすよ。ホント。名前からすると男性の方なのかなと思ったが実はもうすでにお子さんもいらっしゃる主婦の方。Yahoo!ブックス - インタビュー - 有川浩:「図書館戦争」 では作者の有川浩さんの執筆秘話なども掲載されているよーなので是非読んでみるべし。そーいえば、冒頭で引き合いに出した、三崎亜記さんは女性かと思っていたが実は男性だった。「ラス・マンチャス通信」を書かれた平山瑞穂さんも男性だった。うーむ、最近の名前はパッと見では男性か女性かようわからんわい。
続編が出ないかなぁと思っていたら案の定でるらしい。それも今月だって! 「図書館内乱」は2006/9/11に発売されるよーなのだ。続編にもますます期待が高まるっす。実際に図書館勤務されている人の感想などを聞いてみたいのぅ。
■他の方々の感想(やっぱかなり大絶賛!)
・Night Fly: 図書館戦争
・booklines.net: [有川浩] 図書館戦争
・箱庭●弐 感想保管庫 ■図書館戦争(有川浩)


浩さん、解説ありがとうございましたー。