TBS の水曜プレミア春の特別ロードショー「半落ち」を遅ればせながら見た。(3月23日の放映)
日本アカデミー賞の最優秀作品賞に選ばれているし、原作はあの横山秀夫。これはもう見るべしでしょう。書籍でいたく感銘を受けたりょーちはワクワクしながら見始めた。この映画、出演者がかなり面白いところを引っ張ってきている。通常の感覚ではありえないようなキャスティングの面白さを感じる。
・寺尾聡 (梶聡一郎)元警察官
・原田美枝子(梶啓子)梶の妻
・柴田恭兵 (志木和正)警視
・吉岡秀隆 (藤林圭吾)裁判所判事
・樹木希林 (島村康子)梶啓子の姉
・鶴田真由 (中尾洋子)東洋新聞記者(原作は男性じゃなかったっけ?)
・伊原剛志 (佐瀬銛男)検事
・奈良岡朋子(高木医師)梶の息子の担当医師
・國村隼 (植村学)梶の弁護士
・高島礼子 (植村亜紀子)植村学の妻
・西田敏行
・石橋蓮司
・本田博太郎
・井川比佐志
・嶋田久作
・斉藤洋介
・田辺誠一
・豊原功補
・奥貫薫
・田山涼成
・中村育二
・永井杏
・高橋一生
かなり渋いところを突いている。下手な役者が殆どいないってのは良い。柴田恭兵、伊原剛志、豊原功補、田辺誠一など渋いな。
嶋田久作は純粋に怖かったが意外と警察官僚のトップってはまり役かも(未だに帝都大戦の加藤役のイメージが。どっちかって言うと犯罪者?)
植村学弁護士役の國村隼ですが、最初「西田敏行痩せたなー」と思って見てて、ストーリーをおっかけていると「あれ、なんか違うよーな」と大ボケでした(合掌)。
藤林圭吾の父役の井川比佐志も鬼気迫る演技でした。井川比佐志も未だに「噂の刑事トミーとマツ」のイメージが抜けないのはりょーちだけか?
本田博太郎も「ただいま放課後」のドンガメ役のイメージが・・・
まあ、過去のドラマの話はおいといて、ストーリーはほぼ原作に忠実に作られていた。
警察官の梶聡一郎は部下からも慕われている刑事。その梶が自分の妻を殺害し、死体をそのままにしたまま行方不明となる。暫くして梶は警察に出頭する。スキャンダルが続く警察は梶の起こした事件の対応に頭を抱える。梶を取調ることになった志木和正は上層部が誘導尋問をするように促される。
梶は妻の殺害を認めるが、事件発生後から出頭までの「空白の二日間」については、口を閉ざしていた。警察用語で「落ちる」とは犯人が罪を認めて自供することを言う。「完落ち」とは「完全に落ちる」ことを指すが、梶の場合は「半落ち」の状態であった。
一方事件を追う東洋新聞記者の中尾洋子は警察と検事の喧嘩を偶然聞いてしまった。それは「警察が挙げた調書が歪曲されたものである」というものだ。追取材のため洋子は佐瀬検事の自宅を訪れる。
一方、梶の弁護士に志願した植村は、梶の妻である啓子の姉、島村康子を訪ねる。島村康子は啓子の葬儀の際に「梶を恨んでいない」との言葉を残しており、その真意を尋ねた。啓子はアルツハイマーで苦しんでおり、梶は最後まで妻のことを考えていたと康子は考えていた。
そうこうするうちに裁判が始まり、依然として梶は何も語らない。佐瀬検事は以前梶と対面した際に「梶は何かを守ろうとしている。何かのために生きようとしている」と感じた。梶の家族は長男と妻と梶の三人家族だったが、長男は白血病で数年前に急逝していた。愛する妻も自らの手で命を奪い、梶にはもう守るものもないはずであった。
梶が黙秘してまで守ろうとしているものは何か、また、空白の二日間には何があったのか?
うーむ、全般的になかなかよかったですよ。
欲を言えば「半落ち」の最後の章である「古賀誠司の章」の部分が割愛されていたのが残念だった。小説ではこの章が今までの余韻を更に引き出すよいエッセンスになっていたのだが。でも、久々に安心して見ることが出来る日本映画を見た気がする。
寺尾聰も日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を取ったのも頷ける押えた演技がよかった。もしかすると日本アカデミー賞最優秀主演男優賞史上、最もセリフが少なかった役かもしれないなー(違う?)。息子の最優秀主演男優賞に父親の宇野重吉も天国で喜んでいることでしょう。
どーでもよいが、これ、供給元が東映なんだな。で、東映の例の岩に波が激しく打ち付けられるおなじみの映像が先ず映るのだが、テロップで「福岡県の津波警報は解除されました」と出ていたのはタイミングがいいのか悪いのか・・・(東映方面は波がかなり高いっすよ・・・)
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