貴志 祐介
角川書店 (1999/04)
売り上げランキング: 1,129
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こんにちは、踊る指揮者、スマイリー小原です(嘘です)
なんとなく再読したクリムゾンの迷宮。
彼の行動と名前が藤木というのに引っ張られてりょーちの中では東野圭吾の「ゲームの名は誘拐」の佐久間俊介とオーバーラップした。(オレだけ?)
しかし、貴志祐介は気持ち悪い文章が得意だな。「ISOLA」、「天使の囀り」、「黒い家」とかどれも不気味すぎる・・・ 角川ホラー文庫の似合う作家と言っても良い。
証券会社をリストラされたサラリーマンの藤木芳彦は、気が付くと見たこともない場所に連れ去られていた。会社をクビになった藤木は都内でホームレス同然の生活をしていた筈だがここはどう見ても東京ではない。また日本でもありえない。フシギな風景を見つめ暫し呆然とした藤木のそばには「POCKET GAME KIDS」という端末が置かれていた。不審に思いつつも端末を起動し画面を見ると、
火星の迷宮へようこそ
という文字。「ここは火星? そんなわけはない」。
自分の置かれた場所もわからないまま強制的にゲームに参加させられた藤木。
ゲーム機には、第一CP(チェックポイント)に行くための方角と距離が表示されている(GPS付きか?)。CP到着前に大友藍という女性と遭遇した。彼女もこのゲームに参加させられた人物のようである。第一CPに到着すると藤木と大友を含め全部で9人いるようだ。そして誰も自分が何故こんなところにいるのかを理解しているものはいない。
第一CPに到着したメンバーは各自のPOCKET GAME KIDSに情報が表示されていた。どのメンバーにも異なるメッセージが表示されていたのだが、藍だけはPOCKET GAME KIDSを途中で壊してしまったため表示されなかった。
その中に、
サバイバルのためのアイテムを求める者は東へ、護身用のアイテムを求める者は西へ、食料を求める者は南へ、情報を求める者は北へ進め
というメッセージがあった。9人のメンバーは4つのグループに別れ行動することになった。サバイバルアイテムのある東へは加藤、野呂田が。護身用アイテムのある西は妹尾、船岡が。食料を求める南へは楢本、阿部、鶴見の3人が。北の情報を求める者は藤木、大友が行くことになった。
情報という不確かなものを目指して藤木と大友が目指した場所には情報が確かにあった。しかしそこで得た情報は彼らを震え上がらせるものだった・・・
この本は、昔流行したゲームブックのように物語が進んでいく。プレーヤー達が与えられたアイテムを元に生き残りをかけて各チェックポイントを通過しゴールを目指す。
ゲームブックの場合はストーリーの中で主人公が死んでもまた前のページに戻って別の選択肢を辿り直すことができる。しかし、藤木たちは選択を間違ったが最後、自分達の命に関わってくるのだ(と、言ってもこれも小説の中の話なのだが・・・)
彼らはおそらく こういうところ にいたのではないかと思われる。
本書、ラスト手前までは、かなりよかった。しかし、どうもラストが「やっぱりそーゆーことなのかぁ」と感じたのは事実である。と、同時に「これ、設定が無理矢理だよなぁ」とも感じた。
でも、ハラハラドキドキ感はかなり味わえるのでよろしいのでは。
読み終わって貴志祐介の気持ち悪さと新堂冬樹の気持ち悪さは同じような匂いがすると感じた。人間の内臓を掴むようなおぞましい感触がする。(しかし、黒い家よりは気色悪くなかったばい)
別の機会に貴志祐介の別の本を再読してみることにしよう。
関連URL(?):映画「CUBE ZERO」(キューブ・ゼロ)公式サイト (シチュエーションが似てる?)