2004年10月29日

有栖川有栖:「月光ゲーム」 このエントリーをはてなブックマークに追加

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)
有栖川 有栖
東京創元社
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りょーち的おすすめ度:

これはイイですね。主人公=作者の形式は有栖川有栖さんの他に二階堂黎人さんなどのシリーズがありますね。本書も主人公の有栖川有栖が体験した事件を小説として記載している方式である。また、有栖川有栖さんのデビュー作でもある。
京都にある英都大学に入学した有栖川有栖が英都大学推理小説研究会(EMC)に入部した直後に起こる事件である。大学作者の有栖川有栖さんが同志社大学の卒業なので、英都大学=同志社大学とイメージして読み始めました。
夏合宿のために矢吹山にやってきたEMCのメンバー(部長の江神次郎、望月周平、織田光次郎)を連続殺人事件が待ち受けていた。矢吹山には、他の大学(雄林大学、神南学院短期大学)からも偶然参加しており、次々と殺人事件が起こる。矢吹山の突然の火山活動により、下山の退路を立たれたメンバー達は残り少ない食料の不安と連続殺人犯人に怯えながら昼夜を過ごす。
有栖は神南学院短期大学の姫原理代に淡い恋心を抱くが、時が経つにつれ彼女が犯人ではないかと確信し始める。このあたりのロマンスも読みどころですが、やはり圧巻は江神部長の鋭い推理ではないでしょうか? 読んでいてストーリー、推理に破綻が全くないと感じました。本格推理小説よろしく「読者への挑戦」も用意されている。メンバーが推理小説研究会だけにメンバー内でのしりとりや会話の端々にクイーンやポー、アガサ・クリスティなどに関する様々な薀蓄が聞けるのもよい。
こういったところで作者の今までの読書遍歴をうかがい知ることができる。江神部長と有栖がはじめて会う場面では江神部長が中井英夫の「虚無への供物」を読んでいるシーンなどでは、思わず「お、中井英夫だよ」とか思ってしまう。
さてさて、本書は山の中で退路を立たれたメンバーに降りかかる殺人事件なので、誰も外部へ出たり誰も外部から進入しない事件。つまりメンバーの中に犯人がいるのである。別のグループのメンバーの性格もあやふやだったりする中で江神が提示した犯人の指摘は本当に見事である。というかこのストーリーを生み出した有栖川有栖。やりますな。
本書を読んで思ったのは、名探偵をミスリードする役割の重要性である。名探偵が登場するってことは殺人事件が起こってからすぐに「君が犯人だね、それは○○××だから・・・」と説明して終わっちゃうじゃん。これだと推理小説にならない。如何に上手く名探偵がミスリードさせられているかによって推理小説の面白さ(読後の納得感)に繋がる。ミスリードはいくつもあるのだが、本書ではダイイングメッセージもそのひとつに上げられる。
江神が犯人のトリックを看破する場面は爽快だ。こんな部長がいるならりょーちもEMCに入部したいと思うばい。そしてEMCのメンバーの会話を聞いて、大学時代は懐かしかったなーという気分にさせられました(青春小説?)。本書はシリーズになっているので、続きも是非読んでみたいです。
推理小説を今まであまり読んでいない人にもお薦めです。


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posted by りょーち | Comment(2) | TrackBack(4) | 読書感想文
この記事へのコメント
お早うございます。
トラックバックを頂いていたこと、気がついていませんでした。こちらからもトラバさせていただきました。
Posted by at 2005年05月20日 09:16
涼さんこんにちは。りょーちと申します。

>気がついていませんでした
全く問題ありません(^^;

今後もちょくちょくお邪魔させてください。
ではでは。
Posted by りょーち at 2005年05月20日 16:46
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