2005年11月07日

宮本輝:「青が散る」 このエントリーをはてなブックマークに追加

青が散る
青が散る
posted with amazlet on 05.11.07
宮本 輝
文芸春秋 (1985/11)
売り上げランキング: 43,170
おすすめ度の平均: 4.66
5 20年経っても忘れられない本
5 本好きになったトリガー
5 永遠の青春小説



りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは。ボンカレーでおなじみの松山容子です(嘘です)。

何故いまさら「青が散る」なのか。それは読む本がなくなったからである(節約じゃ)。
しかし宮本輝という作家は素晴らしいな。定期的に読むべきだと思ったりするのだが他の作家の方々にも目移りしてしまう。困ったばい。

本書「青が散る」はりょーちの読んだ青春小説の中でナンバーワンではなかろうかと思われる。関西の新設大学に通うこととなった椎名燎平の4年間の青春がこの本に詰め込まれている。青春って書くとちょっと気恥ずかしいものを感じるが本書に関しては「青春」という言葉がぴったりである。

あとがきで宮本輝さんは、こんな風に語っています。
私は昭和四十一年から四十五年まで大学生活をおくりました。勉学とはいっさい無縁の四年間でした。テニス部に入部して朝から晩までラケットを振っていました。

宮本輝さん自身、関西の大学で燎平と同じような学生生活をすごしていたと知り、登場人物各自にとてもリアリティがあることに納得させられます。

学生生活には友人や恋愛がツキモノで、燎平も4年間の中で主にテニスを通じて様々な友人と出会います。大学入学手続きの時に知り合った佐野夏子に一目ぼれした燎平は夏子との恋愛と入学後に知り合った金子と一緒に作ったテニス部という大きな二本の柱が大学生活の全てだった。そういう話しなのだ。

本書のよさは一言では語りつくせない。(いや、ホントに・・・)

金子は大きな心で押しの一手だった。
木田は来年こそ司法試験に合格するべくひたすら勉強する。
端山は事業に失敗したが再起を誓う。
祐子は旦那の浮気にも負けずいい妻になる。
安斎は「こわい」と一言残してこの世を去っていった。
貝谷はゆかりとくっついた。
ガリバーはひたすら歌った。
ポンクは燎平と壮絶な試合を繰り広げ、そして去っていった。

登場人物ひとり一人に夫々の青春とよべるものがあり、そしてみんな大人になっていく。モラトリアム期間とも呼べる大学生活をどのようにおくるのか。自分の大学生活を思い出しながらこの本を読んでみるとかなり面白く、感動させられる。

本書を読むと何時も、燎平と祐子の再会のシーンでの祐子の言葉に涙腺が急激にゆるくなってくる。祐子の言葉の
「燎平からの手紙の最後の部分、私、一字も間違えずに暗唱できる。---金子にはイギリス製の財布を、貝谷にはスウェーデン製の釣り竿とリールを、僕には夏子の写真を、形見分けに残していきました---。私、あんなに哀しい手紙を貰ったの、生まれて初めて」

この一文、ここまで本書を読んだ人にしかわからないとても重い一言なのです。切ないです。ホントに感動っす。
他にも登場人物の数々の素晴らしい会話で埋め尽くされたこの一冊。必読でしょう。

なお、りょーちの中では本書の登場人物は ドラマ「青が散る」 のキャラクターとオーバーラップしているので、燎平は石黒賢であり、夏子は二谷友里恵であり、祐子は川上麻衣子であり、安斉克巳が清水善三(欽ちゃんバンドのメンバーだった)と置き換えて読んでいた。そのほかのキャラクターは実はあまり覚えていなかった(キャプテンの金子が佐藤浩市だったのかー)。
石黒賢の燎平役が非常にインパクトが強くて石黒賢を見ると「椎名燎平と石黒賢のどっちが芸名だっけ?」と迷うことも多かった。
りょーちの中でもう一度見てみたいドラマの1位に君臨している。
主題歌は松田聖子「蒼いフォトグラフ」で何かの曲のB面だったと思う。B面なのに主題歌なんてすごいと思ったりしたものだった。

そしてかなり嬉しいのがいろんなサイトで本書「青が散る」が取り上げられていてみなさんの青春の1ページに刻み込まれているという事実です。何年経ってもよい本はよいのです。きっと、数年後も同じようにりょーちを間違いなく感動させてくれる一冊であろう。(ドラマ再放送しないかなー)

posted by りょーち | Comment(14) | TrackBack(1) | 読書感想文
この記事へのコメント
イー作品ですねよね。
ふと思い出して検索してたら見つけました。
私も高校のときに読んで、感動した一人です。ドラマがあったは・・・知らなかったな〜 あの裕子の言葉はぐっと来ますね。
実家にまだあると思うので、探してまた読んでみます。
Posted by テンマ at 2008年05月08日 23:29
テンマさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
コメントいただきましてありがとうございます。
本書、かなり満足度が高く、これまでに、何度も再読しています。
ドラマも結構クオリティが高くて楽しめましたよ。再放送を期待していますが、なかなか実現しなさそうです。
また近いうちに再読すると思います(^^;
ではでは。
Posted by りょーち at 2008年05月09日 01:29
 NHKオンラインでドラマの番組を探って泳いでいたら、こんな素敵な文章にたどり着きました。
 「青が散る」大好きです。
 読んだのは10年ちかい前、大学卒業した年の次かその次の年で、わたし「『王道をゆく』ってこういうことなのか」って、一人勝手に納得した覚えがあります。
 テレビ放送って、もう、20年くらい前ですよね。わたしも、再放送望んでます。

 ン!?、よく見れば3年近い前の日付…、
何か今さらな感じですが、この書評を読んだのが今なので、今の感想です。

 女の赤裸々な部分が上手に隠されてて、ありがたいような、申し訳ないような気持ちにも、なったりするわたしですが、とにかく、大好きな一冊(上下で2冊?)です。

Posted by モリカ at 2008年05月11日 13:09
モリカさん、こんにちは。りょーち@管理人です。コメントいただきましてありがとうございます。
「王道をゆく」の件、結構私も好きです。自分はどっちかといえば、王道でも覇道でもなく、あぜ道的な人生ですが(^^;

これだけ昔のドラマだと、再放送は結構難しいのかなと感じてますが、CSとかで密かに再放送されたりするのかもしれませんね。

そろそろ再読したいかも。近いうちに多分読んじゃうと思います。
ではでは。
Posted by りょーち at 2008年05月12日 16:46
時折、「青が散る」で検索をして、いろいろな人の心に残った作品なのだなと確認しています。ドラマの印象が強くて、いまだにエンケンさんは「貝谷」と、村田雄浩さんは「端山さん」と呼んでしまいます。
ドラマでは東京を舞台をしながらも、なぜかしゃれた神戸の雰囲気を思い起こすようなシーンもあったなあと最近になって思ったりもしています。
Posted by マスタード at 2009年06月25日 11:47
マスタードさん、こんにちは。りょーち@管理人です、コメントいただきましてありがとうございます。
私もドラマの印象がかなり強いんですよねー。
ドラマの舞台は東京だったんですねぇ。
小説では登場人物が関西弁をしゃべるのですがその言葉のやりとりもかなりイイんですよね。
あー、ドラマもう一度見たくなってきました。再放送やらないかなー。
ではでは。
Posted by りょーち at 2009年06月25日 19:42
はじめまして

ひょんなことから、
突然思い立って「青が散る」を
検索してみたところ、
Youtubeに全編アップされているのを発見!
3日かけて観通し、今観終えたところです

当時は先に原作を読んでいました。
その後TVでドラマを観たつもりでしたが
今、改めて観てみると
殆ど内容を忘れていたので
ちゃんと観ていなかったのかもしれません。

でも・・・ホントよかったです。

丁度このところ昔を思い出す機会が多々あり
これを観て、大学時代の様々な思いが
胸の中でリアルに渦巻きました。
未来に対する期待と不安
楽しみなような、怖いような・・・
あの頃の全てが懐かしい。

大学を卒業して30年
日本を離れ北欧に住んで20年
想像も出来なかった当時の未来に今います。

「青が散る」このタイトルの秀逸さを
改めて感じた春の宵でした。

Posted by 森猫 at 2010年04月05日 08:04
森猫さんこんにちは。りょーち@管理人です。コメントいただきましてありがとうございます。
>Youtubeに全編アップされているのを発見!
>3日かけて観通し、今観終えたところです
私も実はそれ、最近見ました(^^;
iPodに入れて見ています。
いやー、忘れていることがかなり多かったし、あの役はあの人だったんだーってのがわかってかなり新鮮でした。貝谷が遠藤憲一だったり、和泉役の利重剛とかあまり印象なかったんだけど、再度見直してみるとなかなかイイ味だしてますよね。
燎平と祐子の再会のシーンは、そのまま小説が活かされてましたね。
映像にしておいて欲しかったエピソードはポンクと燎平の試合かな。映像ではポンクにあまり光があたっていなかったっす。
石黒賢や二谷友里恵をはじめ若い役者が演技に慣れていないところが逆によかったです。
ホントに再度見ることができて私も感動しました。

ではでは。
Posted by りょーち at 2010年04月05日 12:30
りょーちさま はじめまして。清水善三です。そうです。自殺したはずの安斉はまだ清水善三として生きております。最近始めたフェイスブックに仲間たちから『青が散る』に関しての掲載希望が多く、かといって手元にはなにも資料が残っておらず、さて、どうしたものかとネットで探し始めたところで、素敵なコメントに辿り着き、私からのコメントを入れさせていただいている次第です。  
そうですね、もう30年近く前のドラマですが、出演者のみんなとは収録が遠足のような楽しい気分で毎日過ごさせていただいてました。 もちろん夜遊びも含め、朝一収録の時は朝まで飲んでそのまま緑山スタジオへ。 深夜収録の時はそのまま飲みに・・・と今では考えられないくらいタフでしたね。  そうそうりょーちさんの気になっているポンク役は役者ではなく、ズブのド素人だった彼は内山くんといい、今でも私とテニスしています。 あの素晴らしい時代を憶えていただき、呼び戻してくださったこと大変感謝しております。ありがとうございました。


Posted by ぜんぜん at 2011年10月25日 21:52
ぜんぜんさん。いや、清水善三さん、はじめまして。
りょーち@管理人です。
って、ご本人でいらっしゃるんですねー。ビックリいたしました。

このドラマは本当に思い入れが深いドラマです。
再放送の動画を発見したので先日再度見てみたのですが、電車の中で涙が出るくらい懐かしさを噛みしめながら見ていました。
安西が自殺したシーンは本当にショックでしたよ。
あの話の流れでは安西は死への恐怖を克服し、ハッピーエンドへ向かう方向なのかなとも思ったものですから、本当に残念でなりませんでした。
ポンクは役者の方ではなかったんですねー。安西vsポンクで今もテニスをしていらっしゃるなんて情報、震えが来るくらい嬉しすぎる情報です!

記事にも書きましたが、今まで見たドラマの中でナンバーワンのドラマだと思っていますし、私の中では後にも先にも「青が散る」を超えるドラマは出てこないような気がします。
青が散るは、小説もドラマも根強いファンが未だにいる最高のドラマだと思います。

先ほど清水善三さんのfacebookのウォールも拝見いたしましたが、凄い懐かしい情報が満載でよかったです。
facebookの方もちょくちょく拝見させていただきたいと思います。


コメントありがとうございました。
Posted by りょーち at 2011年10月26日 00:55
初めまして。
自分は2年前に青が散るを読み、その魅了に胸打たれました。醒めてるんだけれど熱い。
前向きなんだけれど、どこか救われない。
読者を救うような本では無いはずですが、忘れられない一冊になりました。
どんな年代でも青春は出来るけれど、青を散らす時代の青春が一番光を放つんでしょうね。
Posted by ポール at 2011年12月11日 03:25
ポールさん、こんにちは。
りょーち@管理人です。
コメントありがとうございます。

>醒めてるんだけれど熱い。
>前向きなんだけれど、どこか救われない。

登場人物たちがすべて不器用な生き方ですよね。
その中で、何か光が見え始めるかどうかという過渡期の人々の群像劇という感じでしょうか?
みんな模索中なんですよねー。
読むたびに感じ方が変わる不思議な本で、私の中でも再読率が高い大切な一冊です。
ではでは。
Posted by りょーち at 2011年12月13日 12:42
はじめまして。なんかここに行きついてしまって、青が散るについて書かれているのを見たらコメント残したくなってしまいました。
僕が高校時代に初めて買った小説です。それ以来宮本輝氏にはまっています。
大学時代にはバス通学にあこがれて、わざわざバスに乗って通っていました。
懐かしいですね。
30年近くたってもあの頃となんら成長してないような今日この頃。
いつまでたっても僕の中ではセピア色には色あせません。
Posted by ペール at 2012年01月03日 22:00
ペールさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
コメントありがとうございます。
「青が散る」ってやはり根強い人気がありますよねー。何か登場人物に引きつけられるんですよねぇ。何だかまた再読したくなってきました。
私も卒業してずいぶん経ちますが、通っていた大学の近くを散歩してみたくなるような一冊です。
ではでは。
Posted by りょーち at 2012年01月07日 04:44
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