今日のgoogleはハロウィン仕様。とりっく・おあ・とりーと。
伊坂 幸太郎
講談社 (2005/10/20)
講談社 (2005/10/20)
おすすめ度の平均:
静かなる伊坂ワールド正直?軟弱?
素晴らしかったです
りょーち的おすすめ度:
前回の宮部みゆきの 龍は眠る に続き、今回も偶然にも超能力のお話し。
感想を書く前に・・・。この本読まれた方、どうでした?
正直ちょいと拍子抜けという感は否めない。野球選手などは3割り打てば一流といわれるので人気作家の作品すべてがヒットやホームランになるわけではないのは理解しているつもりなのだが、正直この魔王に関しては「送りバント」的な印象を受けた。次の作品への繋ぎなのかな?
全く関係ないが野球の戦術にバントというものがあるがよくバントがバンドかわからなくなってしまう。バントは英語の bunt(頭[つの]で突く(こと)) の意味なのでバントが正しい(どうでもいいが・・・)
本書は「魔王」と「呼吸」という二本の短編からなる小説である。
1作目の「魔王」は兄の安藤が主人公となり、2作目の「呼吸」は弟の潤也が主人公である。時代設定は明示的に記載されていないが、おそらく現代より少し先の近未来の話である。といってもそんなにサイエンスフィクション的な小説ではない。
この兄弟、夫々特殊な能力を突然自分達が持っていることに気づく。そしてその能力を自分で試すプロセス。更に能力を使ってみるというプロセスがいずれにも存在する。
「魔王」ではサラリーマンの安藤が自分の思ったことを他人に語らせるという能力が身についていることに気づく。安藤は学生時代からいろいろなことに「思考を巡らせて」ていた。
日本の政治情勢はアメリカに依存していたが、若手政治家の犬養はアメリカへの政治不信を巧みに語る若者達に分かりやすく政治を語る犬養への感心は高まっていた。自分の思いを人の口に乗せることができる能力を身に着けた安藤は犬養の演説会場に行くが・・・
うーむ、りょーちの読み方がおかしいのか「で、どうした?」という感じで終わってしまった感がある。
何故本書のタイトルが「魔王」なのかってのは、小説内でシューベルトの「魔王」の比喩が取り上げられていたからであろう。犬養が国民を知らず知らずに取り込んでいくその過程をシューベルトの歌曲「魔王」になぞらえて説明している。
www.ongakushitsu.net:魔王より
語り手 | かぜのよに うまをかり かけりゆくものあり うでにわらべ おびゆるを しっかとばかりいだけり |
父 | ぼうや なぜかおかくすか |
子 | おとうさん そこに みえないの まおうがいる こわいよ |
父 | ぼうや それはさぎりじゃ |
魔王 | かわいいぼうや おいでよ おもしろいあそびをしよう かわぎしに はなさき きれいなおべべがたんとある |
子 | おとうさんおとうさん きこえないの まおうがなにかいうよ |
父 | なあにあれは かれはのざわめきじゃ |
魔王 | ぼうやいっしょにおいでよ よういはとうにできてる むすめとおどって おあそびよ うたっておねんねもさしたげる いいところじゃよさあおいで |
子 | おとうさんおとうさん それそこにまおうのむすめが |
父 | ぼうやぼうや ああそれは かれたやなぎのみきじゃ |
魔王 | かわいや いいこじゃのう ぼうや じたばたしてもさらってくぞ |
子 | おとうさんおとうさん まおうがいま ぼうやをつかんでつれてゆく |
語り手 | ちちもこころ おののきつ あえぐそのこを いだきしめ からくもやどにつきしが こはすでに いきたえぬ |
伊坂幸太郎の作品よりもシューベルトの魔王そのものに恐怖を覚えた。
2作目の「呼吸」は「魔王」から5年後の話し。安藤の弟の潤也は信じられないくらい感がよくなっているという能力が身についていることに気づく。ここでも自分の能力に気が付くプロセスが書かれている。潤也は安藤とは異なり「あまり考えない」性格のようである。潤也の職業は環境保全の一貫としてを山や森を見張るという仕事である。安藤はふとしたことから「絶対にじゃんけんに負けない」という能力を得ている自分に気づく。「賭け事全般にこの能力は使えるのか?」競馬場にていろいろためした結果どうやら10以内の数字をひとつ選択することにかけてはほぼ百発百中であるような気がした。
一方5年後の政治情勢はなんと犬養が首相となっていた。犬養は国民投票で憲法を変えようとしていた。
果たしてこの力を潤也はどうつかうのか?
一応「魔王」の続編なのだが「呼吸」を短編小説としても読むことができる。
しかし、「で、どうした?」という感はこちらの「呼吸」でも拭えなかった。うーむ、期待していただけにちょいと拍子抜けした感じなのだが、勝手にこっちで期待しただけなので伊坂幸太郎さんに責任はないのだが、まあこういうこともあるか・・・
りょーちには響かなかったけどgoogleで調べたら他の方々は大絶賛・・・(そうなのかー)
同感です・・・。この本は理解不能でした。
ラストも「だからどうした?」という気持ちでした。
で・・二つ星です(^^;
アマゾンでの評価が高くて、ちょっと悩んでました。
でも、りょーちさんの感想を見て勇気がわきました(笑)
>この本は理解不能でした。
>ラストも「だからどうした?」という気持ちでした
そーなんですよねー。無理矢理考えると「犬養の言葉に煽動されずにダメなものはダメと言えるようになりなさい。魔王を読んでダメならダメと言いなさい」という作者のメッセージと考えられなくもない。(嘘です・・・orz)
まあ、肌に合わない作品もあるのでしょうがないっす。
といいながら「ラッシュライフ」を読んだりしているりょーちでした(^^;
ではでは。
私も感想記事を書いたのでTBさせていただきました。
りょーちさん的にはハズレだったようですね。
私としても、いつもとは楽しみ方が違った、という感はあります。でも楽しめましたけど。(笑)
ほほう、アマゾンの評価は高いのですね。見に行ってこよう〜。
>りょーちさん的にはハズレだったようですね。
そーなんです。うーむ。
他の方の評価は結構高いみたいなんですけど、なんだか肩透かしを喰らったようでした。
「まあこういうこともあるかなー」といった感じです。
コメントいただきありがとうございました。
ではでは。
読み方、浅くないですか?
魔王は、敢えて安藤の語りで書いていることと、呼吸は打って変わって詩織ちゃんの
語りで書いていること。
そこの心理描写が際どいところでリンクしていることとか、
すごいと思いますが・・・。
感じます。
4年前のタイトルにコメントもなんですが、検索のトップに近かったので。
「流されずに嫌といえ」は、おっしゃるとおりと思います。
問題は「嫌」と感じることが可能かどうか。
私は、この本を読んだとき、背筋が凍る思いがしました。
「郵政選挙」を通して感じてきた、嫌な違和感を目の前にえぐりだされた気がしました。
本日は2009/7/7。
第45回衆議院議員総選挙が近づく中、あの感覚がよみがえって仕方ありません。
見えない「魔王」が私たちの周りに。
うーむ。もう一度読み返してみようかな・・・
私の読み方がホントに浅いのかもしれませんね。
ではでは。
オーデュボンから発表順に読んでますが、
「魔王」は、まあ、「あり」かな、というかんじで、
そうは作品としては自分の中ではランク高くないです。
ですから、安心しましたこの記事で。
村上春樹でいう「アフターダーク」みたいで、
「書いて出し」みたいな、急いだ印象を受けます。
やはりオーデュボンが一番丁寧で
ブレイクしてからは作を追うごとに
雑さが出てるような気がします。
漫画でも何でもそうなるのはそうですが。
死神の精度も面白いですがまとめが強引な箇所が目立ちます。
「モダンタイムス」という
「魔王」の続編的位置づけの
作品が出たそうですが、やはり未完だからでしょう。
他の方のコメントにあるようにはしばし鋭い観点や
評価に値する部分はありますが
それは作品そのものの完成度ではないです。
りょーち@管理人です。コメントいただきましてありがとうございます。
オーデュボンは確かによかったかも。
>村上春樹でいう「アフターダーク」みたいで、
>「書いて出し」みたいな、急いだ印象を受けます。
そーなんですかー。「アフターダーク」を読んでいないのでわかりませんが、ネットでの評判などを検索してみたいと思います。
この本が発売されてもう4年も経とうとしているなんて月日のたつのは早いと感じております。
ではでは。
重力ピエロをきっかけに伊坂ワールドに引き込まれたんですが
今回読んだ【魔王】はあまり引き込まれませんでした(>_<)
特にあのマスター(?)は結局…
という感じだったりで気持ち良く読んだ感じではありませんでした。
たまたまこのサイト?を見つけたのでコメントしてみました☆
後、管理人さんのお勧めの伊坂幸太郎さんの本があれば
教えてください(^-^)♪
それでは失礼しました〜(^_-)-☆
私の場合は「陽気なギャングが地球を回す」を読み、結構気に入ったので読んでみたのですが、ちょっとこれは私の中では評価が低かったです。(他の方々はイイと言っていらっしゃるかたももちろんいらっしゃいます。)
「魔王」は好き嫌いがわかれるのかもしれませんね。
「陽気なギャングが地球を回す」は何も考えずに楽しめる一冊だと思います(^^;
ではでは。
陽気なギャング〜は私も好きです(^O^)/☆
特に黄色い方がお気に入りです。
また色々本を読んでみたいと思います(^_^)
「魔王」の感想を検索しててたどり着きました。
今日読み終えたんですが、初めは正直「?」という感想でした。
が、いろいろ考えたらパズルがつながったようにピコーン!って感じでこの作品のおもしろさに気がつきました。
かなり変な解釈かもしれないんですが、自分のサイトに感想を書いてるんで読んでもらえるとありがたいです。
(ここに書くと長文過ぎて迷惑なので…)
http://dorapuro.fc2web.com/0912a.htm#8
こう考えると「でどうした?」とはならない気もします。
自分でも考えが突飛過ぎる気もしますけどね。
安藤も「考えろ考えろ」といってるんでまあ良しとしましょう(笑)
私も何年も前にこの小説を読み、管理人さんと同じ印象を持ちました。
しかし、最近になって読み返した所、とても重要な事に気付いたのです(もしかすると、既にネット上で出ている事かもしれませんが)。
ヒントは、同じく伊坂幸太郎さんの書かれた「死神の精度」という小説です。
一度、読まれてみてください。
シューベルトの『魔王』にしても、賢治やニーチェのコトバにしても、引用のセンスは酷いと思われ、人のコトバをあやつる能力を得た主人公の話だけに、それはもう致命的に残念な作品でありました。
引用された先達たちの作品の足元にも及ばないし、
いや、及ばなくたっていいんですけどね、
だったら、そういうコトバたちを、持て余しながらも格闘してる、くらいの方が好感が持てる。
クールでスタイリッシュなだけでは、胸には来ないのであります。
例えば村上春樹作品に通底しているトーンとは似て非なるもの。
私、伊坂氏とは同い年だし、この人気ぶりですので、この作品はハズレたかもしれないが、懲りずに他作品もトライしてみようか、とは思っている次第です。
突然のコメント失礼いたしました。
魔王賛否両論なんですよねぇ。
2005年に読んで以来読んでないのですが、これだけ意見がバッサリ別れるってのもなかなか面白いと今は思ったりしています。
再挑戦してみようかなあ・・・