2005年10月31日

伊坂幸太郎:「魔王」 この記事をはてなブックマークに追加

こんばんにゃ、露木茂です(嘘です)。

今日のgoogleはハロウィン仕様。とりっく・おあ・とりーと。


魔王
魔王
posted with amazlet on 05.10.31
伊坂 幸太郎
講談社 (2005/10/20)
おすすめ度の平均: 4.8
5 静かなる伊坂ワールド
4 正直?軟弱?
5 素晴らしかったです



りょーち的おすすめ度:お薦め度
前回の宮部みゆきの 龍は眠る に続き、今回も偶然にも超能力のお話し。
感想を書く前に・・・。この本読まれた方、どうでした?
正直ちょいと拍子抜けという感は否めない。野球選手などは3割り打てば一流といわれるので人気作家の作品すべてがヒットやホームランになるわけではないのは理解しているつもりなのだが、正直この魔王に関しては「送りバント」的な印象を受けた。次の作品への繋ぎなのかな?
全く関係ないが野球の戦術にバントというものがあるがよくバントがバンドかわからなくなってしまう。バントは英語の bunt(頭[つの]で突く(こと)) の意味なのでバントが正しい(どうでもいいが・・・)

本書は「魔王」と「呼吸」という二本の短編からなる小説である。
1作目の「魔王」は兄の安藤が主人公となり、2作目の「呼吸」は弟の潤也が主人公である。時代設定は明示的に記載されていないが、おそらく現代より少し先の近未来の話である。といってもそんなにサイエンスフィクション的な小説ではない。

この兄弟、夫々特殊な能力を突然自分達が持っていることに気づく。そしてその能力を自分で試すプロセス。更に能力を使ってみるというプロセスがいずれにも存在する。

「魔王」ではサラリーマンの安藤が自分の思ったことを他人に語らせるという能力が身についていることに気づく。安藤は学生時代からいろいろなことに「思考を巡らせて」ていた。
日本の政治情勢はアメリカに依存していたが、若手政治家の犬養はアメリカへの政治不信を巧みに語る若者達に分かりやすく政治を語る犬養への感心は高まっていた。自分の思いを人の口に乗せることができる能力を身に着けた安藤は犬養の演説会場に行くが・・・

うーむ、りょーちの読み方がおかしいのか「で、どうした?」という感じで終わってしまった感がある。
何故本書のタイトルが「魔王」なのかってのは、小説内でシューベルトの「魔王」の比喩が取り上げられていたからであろう。犬養が国民を知らず知らずに取り込んでいくその過程をシューベルトの歌曲「魔王」になぞらえて説明している。

www.ongakushitsu.net:魔王より
語り手かぜのよに うまをかり かけりゆくものあり
うでにわらべ おびゆるを しっかとばかりいだけり
ぼうや なぜかおかくすか
おとうさん  そこに みえないの まおうがいる こわいよ
ぼうや それはさぎりじゃ
魔王かわいいぼうや おいでよ おもしろいあそびをしよう
かわぎしに はなさき きれいなおべべがたんとある
おとうさんおとうさん きこえないの まおうがなにかいうよ
なあにあれは かれはのざわめきじゃ
魔王ぼうやいっしょにおいでよ よういはとうにできてる むすめとおどって
おあそびよ うたっておねんねもさしたげる いいところじゃよさあおいで
おとうさんおとうさん それそこにまおうのむすめが
ぼうやぼうや ああそれは かれたやなぎのみきじゃ
魔王かわいや いいこじゃのう ぼうや じたばたしてもさらってくぞ
おとうさんおとうさん まおうがいま ぼうやをつかんでつれてゆく
語り手ちちもこころ おののきつ あえぐそのこを いだきしめ
からくもやどにつきしが こはすでに いきたえぬ


伊坂幸太郎の作品よりもシューベルトの魔王そのものに恐怖を覚えた。

2作目の「呼吸」は「魔王」から5年後の話し。安藤の弟の潤也は信じられないくらい感がよくなっているという能力が身についていることに気づく。ここでも自分の能力に気が付くプロセスが書かれている。潤也は安藤とは異なり「あまり考えない」性格のようである。潤也の職業は環境保全の一貫としてを山や森を見張るという仕事である。安藤はふとしたことから「絶対にじゃんけんに負けない」という能力を得ている自分に気づく。「賭け事全般にこの能力は使えるのか?」競馬場にていろいろためした結果どうやら10以内の数字をひとつ選択することにかけてはほぼ百発百中であるような気がした。
一方5年後の政治情勢はなんと犬養が首相となっていた。犬養は国民投票で憲法を変えようとしていた。
果たしてこの力を潤也はどうつかうのか?
一応「魔王」の続編なのだが「呼吸」を短編小説としても読むことができる。

しかし、「で、どうした?」という感はこちらの「呼吸」でも拭えなかった。うーむ、期待していただけにちょいと拍子抜けした感じなのだが、勝手にこっちで期待しただけなので伊坂幸太郎さんに責任はないのだが、まあこういうこともあるか・・・
りょーちには響かなかったけどgoogleで調べたら他の方々は大絶賛・・・(そうなのかー)

posted by りょーち at 17:02 | Comment(8) | TrackBack(11) | 読書感想文
この記事へのコメント
こんばんは。
同感です・・・。この本は理解不能でした。
ラストも「だからどうした?」という気持ちでした。
で・・二つ星です(^^;
アマゾンでの評価が高くて、ちょっと悩んでました。
でも、りょーちさんの感想を見て勇気がわきました(笑)
Posted by ゆこりん at 2005年11月02日 18:51
ゆこりんさん、こんにちは。りょーち@管理人です。

>この本は理解不能でした。
>ラストも「だからどうした?」という気持ちでした

そーなんですよねー。無理矢理考えると「犬養の言葉に煽動されずにダメなものはダメと言えるようになりなさい。魔王を読んでダメならダメと言いなさい」という作者のメッセージと考えられなくもない。(嘘です・・・orz)
まあ、肌に合わない作品もあるのでしょうがないっす。
といいながら「ラッシュライフ」を読んだりしているりょーちでした(^^;
ではでは。
Posted by りょーち at 2005年11月02日 19:53
りょーちさん、こんにちは。
私も感想記事を書いたのでTBさせていただきました。
りょーちさん的にはハズレだったようですね。
私としても、いつもとは楽しみ方が違った、という感はあります。でも楽しめましたけど。(笑)
ほほう、アマゾンの評価は高いのですね。見に行ってこよう〜。
Posted by たいりょん at 2005年11月17日 15:49
たいりょんさん、お久しぶりです。りょーち@管理人です。

>りょーちさん的にはハズレだったようですね。

そーなんです。うーむ。
他の方の評価は結構高いみたいなんですけど、なんだか肩透かしを喰らったようでした。

「まあこういうこともあるかなー」といった感じです。
コメントいただきありがとうございました。
ではでは。
Posted by りょーち at 2005年11月17日 18:20
気を悪くしたらすみません。

読み方、浅くないですか?

魔王は、敢えて安藤の語りで書いていることと、呼吸は打って変わって詩織ちゃんの
語りで書いていること。
そこの心理描写が際どいところでリンクしていることとか、
すごいと思いますが・・・。
Posted by ムッソリーニ at 2008年12月23日 04:46
あと、宮沢賢治の詩の引用の仕方なんかは、テクニック
感じます。
Posted by ムッソリーニ追加 at 2008年12月23日 04:52
はじめまして。通りすがりのものです。
4年前のタイトルにコメントもなんですが、検索のトップに近かったので。

「流されずに嫌といえ」は、おっしゃるとおりと思います。
問題は「嫌」と感じることが可能かどうか。

私は、この本を読んだとき、背筋が凍る思いがしました。
「郵政選挙」を通して感じてきた、嫌な違和感を目の前にえぐりだされた気がしました。

本日は2009/7/7。
第45回衆議院議員総選挙が近づく中、あの感覚がよみがえって仕方ありません。
見えない「魔王」が私たちの周りに。
Posted by 通りすがり at 2009年07月07日 23:02
りょーち@管理人です。コメントいただきましてありがとうございます。
うーむ。もう一度読み返してみようかな・・・
私の読み方がホントに浅いのかもしれませんね。
ではでは。
Posted by りょーち at 2009年07月08日 22:20
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