2005年09月27日

高橋秀実:「はい、泳げません」 このエントリーをはてなブックマークに追加

はい、泳げません
はい、泳げません
posted with amazlet on 05.09.27
高橋 秀実
新潮社 (2005/06/23)
売り上げランキング: 2,546
おすすめ度の平均: 4.75
5 おかしくて先がよめません。
5 クスクス笑いのツボを強く刺激する本
4 水泳ってなんでしょうね。


高橋秀実さん作品一覧

りょーち的おすすめ度:お薦め度お薦め度

こんにちは。ホキ徳田です(嘘です)。

突然ですが、あなたは25m泳げますか?
全く関係ないがりょーちは小学校3年生まで殆ど泳げませんでした。クロールを練習していたのですが、息継ぎとやらがまるで出来ず、どこで息をするのか空気が読めず子供心に「これは一生泳ぐのは無理?」とカナヅチの烙印を押されるのを感受していたのですが、平泳ぎという泳ぎ方を知り、更に知ったその日に50mくらい泳げるようになったので、「もう、クロールはいいっす」と挫折した口です。
平泳ぎなら疲れるまで延々と泳ぐことができるのですが、クロールでは未だに25mは無理っす・・・orz

本書、「はい、泳げません」の作者も今まで泳ぐことが出来ずにこれまでの人生を過ごしてきた。で、「泳げるようになるぞ!」と、何故か一念発起してスイミングスクールに通うことになる。
この作者、40代にもなって何故泳ぎを覚えようとしたのか・・・
そもそも作者は「地震でもないのに、ゆらゆらするのは普通ではない」とたくさんの水があるのを目の前にすると足がすくむ人。
気持ちは分からなくもないが少し大げさだなあと思い読み始めたのだがかなり感情移入できた。本書はタイトル買いだったのだが、かなり面白かった。只者ではないっす、この高橋秀実(たかはしひでみね)という人。
高橋秀実は間違いなく、現在世界で生きている人の中で最も「泳ぎ」について考察しただと思う。
この本は作者が「泳ごうとするまで」から「実際に泳ぐまで」の体験記でもあるが40代の男性が何か新しいことにチャレンジするという奮闘記としても読み取れる。

作者の語りがかなり軽妙で面白いことと、水や泳ぎに対しての様々な比喩(言い訳とも言う)を読むだけでも抱腹絶倒モノだ。りょーちとしてはノンフィクションでは今年1番の収穫だった。そしてこの作者を知ることができて少し得した気がした。(自動販売機で120円入れてコーラを買ったけど実は110円だったので10円おつりが来た気がする程度のお得さ加減かもしれないが・・・)

作者はスイミングスクールに通い、泳ぎを練習する。スイミングスクールにはインストラクターの先生がいて泳ぎを教えてくれる。本書を読んで最も感心したのがインストラクターの女性コーチ高橋桂先生(この人も高橋さん)の行動・言動である。
この桂さん、かなりすごいっす。TBSで昔放映していた「笑ってポン」の桂プロデューサ(謎の番号209)とは天と地との差もあると思われる。(謎)
作者が水が怖いことを桂コーチに告げると、コーチは「胎児の頃、お母さんの羊水の中で。その時のことを瞑想してみて」などと少し哲学的な発言で切り返す。この桂コーチ、泳ぎに対しての教え方・比喩・表現にかなりの語彙を持ち、生徒一人一人に適したアドバイスを投げかけてくれる。
時には押し、時には引くという駆け引きのようなものも随所に読み取ることができる。
桂コーチの哲学的とも言える「泳ぎ」に関する考え方を読むだけでも勉強になる。

本書はこの桂コーチがいなければ成立しないほど重要な鍵を握っており、この桂コーチと作者高橋秀実の小気味よい会話のキャッチボールが本書の読みどころである。

「溺れる人は藁をも掴む」というが、作者も泳ぎに関して様々なアプローチを見せてくれる。時に、「それは少しベクトルが違うのでは・・・」と突っ込みたくなるのだが、そこがまた痛快。
作者の掴もうとする藁は藁の中でも水を十分に吸った沈みかけた藁だったりする。(何故に日本泳法に手を出す・・・)
お読みいただくと分かるのだが読んでいくにつれ作者が泳げるようになるかどうかについてはどうでもよくなり、水泳指導論や泳ぎについての考え方などに興味が沸いてくる。読者を最後まで飽きさせない高橋秀実の筆力にも注目っす。

そして、スポーツインストラクターという方々の仕事は凄いなあと感じる一冊でもありました。インストラクターの方は(おそらく)その殆どの方々がスポーツが得意だったり好きだったりしているのではなかろうか?
そんなスポーツお得意集団の懐に私のよーな運動神経が皆無のシロートが「泳ぎたい」などとノコノコやってくるわけだ。で、インストラクターの人はおそらくいろいろ教えてくれたりすると思うのだが、心の中では「お前は何故、そんな簡単なことさえもできないのだ」的な岸壁を這うフナムシを見るような目を一瞬してしまい、ふと我に返り、「いやいや、彼も人の子。ここはビジネスと割り切って」などと日々葛藤されているのではなかろうか?(全く違うか?)
そんな、りょーちのよーな人々にも優しく手を差し伸べて小学生に九九を教えるが如く文字通り手取り足取り教えてくださる。アガペーがないとできないっすよ、インストラクターのお仕事ってのは(きっと)。
で、できない生徒を持ってストレスが溜まると、スポーツで発散したりするということなどをしているのでしょうか? プログラマーに例えれば「A社のなんとかシステムのプログラミングの納期が近づいてストレスが溜まったので、現実逃避でちょいと趣味のプログラムでも書いてみるか」的なオカルトな行為に近いものがあるのでは?(これも想像)

なお、あとがきに記載してあったのだが作者の通ったスイミングスクールは東京・南青山にある リビエラスポーツクラブ のスイミングレッスンらしいがWebサイトを見た限りでは、今は桂コーチのお名前はないようである。本書が登場して有名人になっているかもしれないので意図的に名前を出していないだけかもしれないっす。

って、ここまで書いて、ふと「高橋秀実ってどんな顔してるのかな?」と思い、ぐぐってみたところ、 おすもうさん | Web草思 にて写真発見。

インパクトある風貌っす・・・
本書の印象からはかなりダメ人間っぽい面貌を予想していましたが、中学校の音楽室かロシアのブルジョアっぽい邸宅内に飾られていそうなご立派なお顔立ち。(そ、そんな。そーだったんですかー)

本書は「水泳のマニュアル」ではないっす。どちらかと言えば「人生を楽しく謳歌するためのマニュアル」という位置づけだと思う。人間何事もチャレンジが必要だったりする。年を重ねるごとにそのチャレンジ精神は失われがちになる傾向にあるが、そんな人にも是非本書を手に取り、爆笑して何かにチャレンジしてほしいっす。
posted by りょーち | Comment(10) | TrackBack(4) | 読書感想文
この記事へのコメント
おはようございます。
この本面白そうですね♪
絶対に読みたいと思います!!

それにしても、りょーちさんはツウな本をよくご存知で(笑)
Posted by ゆう at 2005年09月29日 08:40
ゆうさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
この本、かなり「あり」です(^^;
本屋に平積みになっていたのをGetしたのですが、予想以上に爆笑でした。電車の中で読んで「ぐふふ」と笑いそうになるのを頑張って我慢しましたよ。(少し危ない人間に見えたかもしれません・・・)
今年の6月頃に発売されたので、もしかしたら図書館などにもう所蔵されているかもしれないので、是非チェックしてみてください。
ではでは。
Posted by りょーち at 2005年09月29日 10:31
はじめまして。この本、実際、泳ぎの上達に本当にためになってます。 インストラクションに従ってみたら、初めてまともに息継ぎができるようになり、驚くべきことに生まれて初めて25m泳げるようになったんです!! もっと売れてもおかしくないのに。
Posted by こま at 2005年10月08日 13:47
こんにちは。りょーち@管理人です。

>驚くべきことに生まれて初めて25m
>泳げるようになったんです!!

それはすごいです。りょーちはクロールがまるでだめなのでこの本を元に勉強してみようかなー。

しかし、抱腹絶倒の面白さですよね。この本。
ではでは。
Posted by りょーち at 2005年10月08日 23:46
おはようございます。
りょーちさん。
この本、やっと読めました!!
いやぁ・・・・「おとうさんは心配性」くらい笑えました(笑)
文章のうまい方ですね〜〜〜!
これは、さくらももこ作品以来の爆笑エッセイです。
TBさせていただきました。
Posted by ゆう at 2005年11月08日 09:20
ゆうさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
コメントいただきましてありがとうございます。

>「おとうさんは心配性」くらい笑えました(笑)
りょーちとしても「ツボ」でした(^^;
桂コーチのキャラクターが絶妙のおかしさを引き出しているのですかねー。
それにしても、ホントこの本は今年の収穫のひとつでした。
ではでは。

Posted by りょーち at 2005年11月08日 12:09
去年かおととし、アエラの書評を見て思わず本屋に走って買いました。
あまりのおかしさに皆にすすめました。
そして、その本のことは忘れていましたが、きょうただいま、高橋さんの顔写真をみて、本以上に大笑いをしました。
わたしは、はい、泳げませんに完全にKOされました。
おみごと!
Posted by りえこ at 2007年07月11日 00:58
りえこさん、こんにちは。りょーち@管理人です。コメントいただきましてありがとうございます。

>高橋さんの顔写真をみて、本以上に大笑いをしました。

あれは、反則ですよね(^^;
「そうきたか」って感じです。
あの面持ちで桂コーチに諭されているところを想像すると、「ぐふふ」と笑ってしまいます。久々のヒットでしたよ。これは。

私もKOされました(^^)
かなりの良作にあたり、嬉しく思っております。
ではでは。
Posted by りょーち at 2007年07月11日 07:46
一度読んだのですが、文庫本が出版されたので、立ち読みしてみると、新たに巻末に高橋秀実、桂コーチ、小澤征良さんの座談会が載っていました。
それも写真付です。
桂コーチは想像どおりの美人でしたので、
思わず購入してしまいました。

Posted by かずお at 2008年02月14日 17:55
かずおさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
コメントいただきましてありがとうございます。
>新たに巻末に高橋秀実、桂コーチ、小澤征良さんの座談会
そ、そーなんですかー。
これは見ものですねー。
是非是非文庫本を買わねば。
素晴らしい情報ありがとーございましたー。

ではでは。
Posted by りょーち at 2008年02月15日 13:25
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


泳げるようになる
Excerpt: 「はい、泳げません」 ☆☆☆☆  40才をすぎても泳げなかった、つまり金づちの著者が、  スイミングスクールで泳げるようになるまでのエッセー。  夏になって泳ぎを覚えたい人にはとても参考になりそ..
Weblog: ハムりんの読書  おすすめの本
Tracked: 2005-09-27 22:26

『はい、泳げません』
Excerpt:  もぉ、めちゃくちゃ可笑しくて、電車の中で読んでいてずっとニヤニヤしっぱなしでした。水なんか大っ嫌い。泳げなくても困る事なんてない!と思いつつやっぱり泳げるようになりたくてスポーツクラブのスイミングス..
Weblog: カラダよろこぶアジアめし
Tracked: 2005-10-08 00:37

はい、泳げません 高橋秀実
Excerpt: 40年以上もカナヅチだった著者が、あるキッカケでスイミングスクールに通う事となった。 泳げるようになるまでの数々の試練、挫折、努力を綴った爆笑スイミングレッスン・ルポ。 「全く泳げない人」の視点で..
Weblog: かみさまの贈りもの??読書日記??
Tracked: 2005-11-08 09:18

コーチ論
Excerpt: 体がなまるので、プールに通うことにした。 近くに図書館があるので、帰りに寄ると楽しい。 借りて数日で読み尽くす。ネットをやらないと本を読むんだな。 絵の息抜きというつもりでいると、真逆になる..
Weblog: 絵のある生活(blog)
Tracked: 2006-09-15 13:37