2004年09月26日

花村萬月:「紫苑」 このエントリーをはてなブックマークに追加

紫苑 (徳間文庫)
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花村 萬月
徳間書店
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りょーち的おすすめ度:

文庫本帯より
天涯孤独の美少女、紫苑は修道院で育てられた。彼女が神の名のもとに修得したものは殺人の技術だった。神父の命に従い政府要人を密殺する紫苑。しかし彼女は常に狙われていた。心を許していたマンションの管理人も実は彼女を狙う暗殺者だった。不安と絶望の中、カメラマンの伊東と出逢い、惹かれていく。伊東と結ばれたことで、組織と自分への疑念はさらに膨らむが…狂気に満ちた愛を描く長篇ブルース。

小説としては悪い話ではないが、気分的に鬱になる内容だった。やりきれない感じ。
山崎紫苑(しおん)は21歳の女性。紫苑の育った修道院の裏の顔は暗殺組織だった。暗殺者としての生き方のみを神父より教えられ、与えられた任務を果たすことで自分の存在を確かなものにしていた。
一人暮らしをはじめた紫苑には自ら考えることを覚え、日に日に修道院や神父のあり方に疑問を持つようになった。
はじめての外の世界でいろいろな人に会う。
マンションの管理人、ナンパ好きの青年、フリーカメラマンの伊東。
それぞれの出会いにはそれぞれの別れがある。紫苑は自分を表現する方法を殺人でしか表現できなかったが、伊東との出会いで愛することを覚える。
花村萬月さんの書く本にはやはり「暴力」と「愛」というのは外せないテーマなのかもしれない。また本書では修道院が舞台となっており、花村萬月さんの宗教観も垣間見ることができると思う。「宗教とヤクザは同じようなもの」という感覚はなんとなくわかる気がする。また花村萬月さんの作品の目線はなんとなく地面すれすれくらいの低いところから世の中を見ているような気がする。だからこそ、その小説にリアルさが生まれるのかもしれない。本書の物語の設定は宗教団体を隠れ蓑にした暗殺集団の物語になるのだが、読んでいくうちに違和感が不思議となくなっていく。
本書は花村萬月さんの初期の作品だったがこの作品では「暴力」の部分よりも「愛」の部分を強く表現したかったのに違いない。「愛」の存在に気づき、「愛する」ことを覚えた紫苑にとってのラストはなんとも言えない寂しさが漂って余韻に浸れますが同時に暗鬱とした気持ちにもなる終わり方。うーむ。でもこれでよいのだろう。(きっと・・・)

また、花村萬月作品を買うばい。
読むたびに好きになっていく作家さんである。

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