2005年09月05日

椎名誠:「本の雑誌血風録」 このエントリーをはてなブックマークに追加

本の雑誌血風録
本の雑誌血風録
posted with amazlet at 05.09.05
椎名 誠
新潮社 (2002/01)
売り上げランキング: 100,579
おすすめ度の平均: 4.33
5 すばらしき青年期
4 ナントカナルダロ、ガハハ!
4 大人になってゆくシーナ



りょーち的おすすめ度:お薦め度


こんにちは。ツーツーレロレロの東国原英夫です(嘘です)。

この本を読むのはもう3回目くらいなのだが、毎回この冒頭の文章を読み、嬉しくなる。
本の雑誌血風録である。
まったくもって勇ましい題名でありますが、殆ど冗談なので、どうか笑ってお許しねがいたい。

もう「オレ、椎名誠の本、読んでいるんだなー」と一行目から幸せを感じるのだ。
本書は椎名誠さん曰く「超零細企業実録小説」らしい。現在の作家(冒険家?)に就く以前につとめていた ストアーズ社 で、 ストアーズレポート を書いていたが、そこに勤める目黒孝二と出会い、ストアーズ社をやめ、「本の雑誌」の編集長になり、活躍(?)するに至るまでの話しである。

この本は椎名誠とその仲間達を通じて昭和の時代を懐かしむという西岸良平の三丁目の夕陽的なほのぼの感が味わえる。また、小説にも関わらずサーノヒトシのやる気のない4コマ漫画も楽しめる。

本の雑誌はストアーズ社に入社してきた目黒孝二が書きなぐっていた「目黒ジャーナル」がその大元となる。目黒孝二は暇さえあれば本を読み、本を読む時間がなくなるから会社を辞めてしまうほど本好きである。誰しも趣味と実益を兼ねることができればこれほどよいことはないのだが、多くのサラリーマンはそれを実行できていない。
椎名誠はストアーズ社で自らが編集を手がけるストアーズレポートが軌道に乗り始め会社の上層部からも一定の評価を受けていた。
既に椎名誠は「さらば国分寺書店のオババ」を出しておりサラリーマンと文筆業という二束の草鞋を旨く履きこなしていた。しかし、椎名誠は本の雑誌に掛けてみたのだ。既に結婚し子供までいた彼にとって、一定の収入が見込めるサラリーマンと全く行き先も分からない「超零細企業」への立ち上げは正に人生の岐路であった。
「本の雑誌社」への就職は現在で言うところのベンチャー企業として捉えることができそうである。 厚生労働省:平成16年雇用動向調査結果の概況 を見ると若者の離職率が高い傾向にある。しかし、これらの若者全てが現在の仕事が単純にいやだから辞めたわけではなく、若き日の椎名誠さんのように夢を抱いて別の会社で頑張っている人もいるのであろう。

本書は何処までもポジティブである。椎名誠がどのようにして本の雑誌へ携わってきたかがここに書かれている。
本の雑誌は軌道に乗るまでには、幾多の試練があった。その当時からも本の流通システムは非常に複雑で、書店に本を置いて貰うためにはどうしたらいいのかも全く分からないメンバーが集まり、御茶ノ水の書店あたりにやっと本を置いて貰えることになるまでの経緯や、少数の読者に認知されはじめ、本の雑誌を書店に配本するためのアルバイト達の奮闘振りなど、読んでいて「頑張れ」と応援したくなる本である(意外と読者が応援したくなる本って少ない気がする)。配本部隊(通称助っ人)については配本部隊を取りまとめていた目黒孝二の 本の雑誌風雲録 や、群ようこの 別人「群ようこ」のできるまで を読んでみると面白い。また、この2冊を読んでから 本の雑誌血風録 を購入することをお薦めする。

椎名誠には愛すべき家族と仲間がいて、彼自身がやりたいことが明確でそれに向って突き進むだけのエネルギーと行動力を持っていたからみんなに愛されるのかなと感じた。
「類は友を呼ぶ」というが、椎名誠の周りに集まる人はみんな楽しそうである。
・生涯読書人、目黒孝二。
・謎の絵描き職人、沢野ひとし。
・かあちゃん弁護士、木村晋介。
・最強事務員、群ようこ。
うーむ、この時代は良かったねぇ。

臨場感溢れ、気取った文章ではなく、非常に好感の持てる一冊である。
posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文
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