2005年08月04日

貫井徳郎:「光と影の誘惑」 このエントリーをはてなブックマークに追加

光と影の誘惑
光と影の誘惑
posted with amazlet at 05.08.04
貫井 徳郎
集英社 (2002/01)
売り上げランキング: 49,737


りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは。木ノ葉のこです。(嘘です)
本書を読むのは2回目。短編(中編かな?)4作からなる「光と影の誘惑」は貫井徳郎という作家の実力を知るのに丁度良い作品だと思う。
表題作の「光と影の誘惑」を含め下記の4編が収録されている。

■長く孤独な誘拐
■二十四羽の目撃者
■光と影の誘惑
■我が母の教えたまいし歌

この4つの作品。小説になる前のアイデアレベルでも秀逸である。こうやって短くまとめて作品にすることにより、貫井徳郎のプロットの上手さが更に光るから不思議だ。

■長く孤独な誘拐
りょーちは知らなかったのだが、本作はなんとTBSでドラマ化されたらしい。
TBS 2004年2月2日放送 サスペンス特別企画 『長く孤独な誘拐』
知らなかった・・・orz

原作とドラマでは少しストーリーが違うようだが、登場人物の名前は同じようである。不動産会社で働く森脇の元に息子を誘拐したという電話が掛かってくる。誘拐犯からは、なんの面識もない羽村公彦という人物の子供、羽村裕貴也を誘拐しろという奇妙な要求を受けた。犯人に言われるがままに裕貴也誘拐に手を染め始めてしまう森脇。息子の耕平のために文字通り東奔西走する。果たして誘拐犯の本当の目的は何か?うーむ、なんだかネズミ講のよーな話しだなと思ったが、最後は貫井徳郎らしさが現れた小説だなと感じた。

■二十四羽の目撃者
所謂密室モノなのですが、こういう密室殺人はりょーちはあまり読んだことないです(ってそんなに密室殺人関連の推理小説を読破しているわけではないのだが)。
舞台はなんとアメリカのサンフランシスコ。探偵役は保険調査員のオレ。オレは上司のマルガリータ(女性)には何時も理不尽な要求を突きつけられていた。そんな中、二月前に保険を掛けたばかりの客が動物園で何者かに発砲され殺されたという。部下をこき使うことに長けているマルガリータはオレに調査を命じてきた。
調査にあたりサンフランシスコ警察の知り合いのロナルドに状況を聞きに行く。このロナルドとのオレの会話が妙に軽く面白い。オレの推理は見事に全否定されてしまう。
被害者の殺害状況だが、どうも腑に落ちない点がある。事件現場は動物園の通路で前後に客、両サイドには白熊とペンギンの檻があった。犯人の逃げる姿は前後の客も見ていないという。抜け道が動物園にあるとも思えない。
調査の進展もあまりなく会社に戻るとマルガリータはいつものように何の根拠もない推理を押し付けてくる。彼女の推理に裏打ちされているのは何時も「女の感」の一言である。被害者の身辺を調査していくとどうやら周囲の親戚達から借りたかなりの借金があることが判明する。
果たして真犯人は誰なのか?
うーむ。終始軽いノリで書かれた本作品。いつもの貫井さんはどこへやら?
本書収録の4作品のうちこれだけ浮いている感じがするけど短編集だから統一しなくてもいいのかな?

■光と影の誘惑
競馬場で知り合った銀行員の西村勝巳と小林吾郎が現金輸送車襲撃を計画する。ターゲットは西村の勤めるで銀行の現金輸送車。二人の立てた計画は実行され、見事襲撃に成功しカネを手に入れる。そこまでは順風満帆だったのだが・・・
ストーリーといい、トリックといい「貫井徳郎っぽい作品」といえなくもない。ラストを読んだ時点で「え?どういうこと?」とわけが分からなくなって思わずもう一度読み直して「あー、そういうことかー」とやっと分かった・・・orz
りょーち的には競馬絡みというわけではないのだが、なんとなく岡嶋二人さんが(井上夢人さんがではない)書きそうな小説だなあと感じた。
まあ、そんな感じの内容である(どんなだ?)
騙されたときの爽快感が「貫井徳郎っぽい」と感じたのかもしれない。

■我が母の教えたまいし歌
りょーちが編集者だったとしたら「この4編の中で、どれをラストに持ってくるか」と聞かれれば、きっとこの「我が母の教えたまいし歌」をりょーちも選択してしまうだろう。もうちょっと膨らませれば、東海テレビのお昼1時30分からのドラマっぽい展開になりそう?
所謂、戸籍に関してのトリック。最後のほうまで皓一・父・母・初音の関係がりょーちの中でごちゃごちゃになっていた。
ストーリーやトリック(?)としては以前どこかで読んだことがありそうな感じもするのだが、そうは言ってもりょーちの予想は見事にはずれました。



短編小説や中編小説はよほどアイデアとプロットがしっかりして、且つ流れるように読ませる文章力が必要かと思う。貫井徳郎さんは、そのどちらも持っている作家さんの一人だと思う。かなり固定ファンも増えていると思われるので今後の貫井さんの新作に是非期待したいところだ。

新作はまだですかねー。早く読みたいっす。
posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(2) | 読書感想文
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光と影の誘惑(穂高)
Excerpt:  久々の貫井氏作品。短編は『被害者は誰?』(講談社)以来でしたが、いやぁ、やはりというか何というか、魅せてくれるぜ!と叫びたくなるような1冊でございました!
Weblog: 読書尚友〜Reading is food for the mind.〜
Tracked: 2005-08-05 01:54

(書評)光と影の誘惑
Excerpt: 著者:貫井徳郎 これを書いている時点で、貫井徳郎の中短篇集は3作出ているが、その
Weblog: たこの感想文
Tracked: 2005-09-21 19:45