2005年07月15日

服部真澄:「ディール・メイカー」 このエントリーをはてなブックマークに追加

ディール・メイカー
ディール・メイカー
posted with amazlet at 05.07.15
服部 真澄
祥伝社 (1998/09)
売り上げランキング: 404,895
おすすめ度の平均: 4
4 視野を広めるには良い作家です。
4 現実世界に置き換えて読める面白さ
4 著作権をめぐる熱い闘いを描いた力作

りょーち的おすすめ度:お薦め度
ずいぶん前に2回ほど読んだが、もう1回読んでみた。最近の読書感想文の傾向を見てみたら、
福井晴敏:「亡国のイージス」 2002/07
平谷美樹:「エリ・エリ」 2000/11
真保裕一:「奇跡の人」 2000/01
横山秀夫:「陰の季節」 2001/10
貫井徳郎:「鬼流殺生祭」 2002/06
霧舎巧:「ラグナロク洞」 2000/11
霧舎巧:「カレイドスコープ島」 2000/01

うーむ、新書があまりないね。決して貧乏で本が買えないわけではないのだが(と言っても裕福でもないのだが・・・)何故か昔に読んだ本をもう一度読み返したい衝動に駆られて、読み漁っているのだ。
で、この「ディール・メイカー」もそのひとつ。服部真澄さんの本は年に何度かダンボール(自宅に本棚ないっす・・・)から取り出して読み漁る作家の一人だったりする。
りょーちの貧乏自慢は置いといて、感想なのだが、服部真澄の海外への目の向け方は非常に良いのではないかと何時も思う。
「龍の契り」では香港返還をテーマにイギリスと中国の交わした謎の契約を巡り繰り広げられる。そして「鷲の驕り」ではサブマリン特許をテーマに日本の自動車会社とアメリカの特許王との間で熾烈な戦いが行われる。
印象としては高村薫さんの書かれる世界観に近いかなーとよく感じる。最も異なる点を挙げるなら、高村薫さんの小説には「悲壮感」が前面に押し出されていることかなぁ。その分、服部真澄さんの小説の方が「読みやすさ」という点で分があるかな(内容で差があると言っているのではないことに注意)。
今回の題材はM&A(企業買収)がテーマになっている。初版が1998/09ということなので、まさに現在を先取りしたテーマである。1998年頃にM&Aが大きく取り沙汰されることはなかったですよね。
登場する企業も現実世界に存在する企業が一瞬で頭に浮かび上がる設定になっている。
・「ハリス・ブラザーズ」=「ディズニー
・「マジコム」=「マイクロソフト
・「ネッティ」=「ネットスケープ社
だったりして読んでいる人にも分かりやすい。マジコムのCEOのビル・ブロッグなんてりょーちの中では100% ビル・ゲイツ でした・・・orz
しかし、この本、今読んでいてもホントに時代を先取りしていたんだなーと思う。
キーワードとしては「著作権」「敵対企業買収(M&A)」「人工授精」「コーポレート・ガバナンス」など盛りだくさんの内容である。

非常に簡単にストーリーを述べると、こんな感じ。
ハリス・ブラザースは人気キャラクター「クマのデニー」により多大な利益を得ている。しかし「クマのデニー」がハリス・ブラザースのものでなくなったら大変なことである。(ディズニーのキャラクターのミッキーマウスは「実はマイクロソフトが著作権を保有しています」ってなったら大変だと思いませんか?)
ハリス・ブラザース商品部門担当副社長である、シェリル・ハサウェイとインターネットのチャットで知り合った反健斗がマジコム社長のビル・ブロックが仕掛ける敵対企業買収に立ち向かう。
こう言えば非常に簡単な構図に思えるが、実際はかなり込み入った状況になっている。
今でこそ日本もストックオプションと言って自社株を社員が保有する時代になりつつあるが、アメリカでは当時から当たり前にストックオプションが行われていた。そのため、単純に自社が買収されることが自分にとって不利益にならない場合がある。それは自社内に不穏分子を飼うことと同値である。
クマのデニーを手にするのは最終的には誰になるのか?

この小説、一筋縄ではいかないっす。服部真澄の小説は二転三転と凄いスピードでストーリーが変わりまくる。その流れに任せて読んでいくとよいと思われる。世界観に浸るだけでも心地よい気分が味わえるであろう。

この小説を読んで、著作権ってのはとんでもない武器なんだねーと思った。

#でも、催眠術って反則っぽい気がする・・・
posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: