2007年08月06日

貫井徳郎:「失踪症候群」 このエントリーをはてなブックマークに追加

失踪症候群 (双葉文庫)
貫井 徳郎
双葉社 (1998/03)
売り上げランキング: 49093

りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは、姫宮接子です(嘘です)。

本書を再読してみて、自分の読書の嗜好が微妙に変わり始めていることに気づいた。

はじめて読んだ貫井徳郎の本は「慟哭」であり、その斬新なストーリーにかなり惹かれ、「うーむ、この人はすごいかも」と思い、貫井徳郎のその他の本を読み漁っていた時代があった。多分それが5年くらい前の話のよーな気がする。
その後も結構ハズレる確率が少なく、「よいではないか、貫井徳郎」と思っていたのであるが、久々に「失踪症候群」を読みかえしてみて「むむっ」と思った。

「失踪症候群」は「誘拐症候群」「殺人症候群」とあわせて3部作になっており、その初めの作品となる。環は表向きは警視庁の人事課という警視庁の中では閑職の部類に入るスタッフ部門に配属されていた。しかし、実は環は警視庁内で事件性が薄いよくわからない案件を隠密裏に捜査するエキスパートであったのだ。
こういう「警察内に誰も知られていない裏の顔」っていうのは現実的には難しいと思う。市民から組織の透明性を求められるようになってきた今日、ホントにこういう組織や人が存在するのは難しいであろう(まあ、小説だからいいんだけど)。

環は警視庁のある人物より、若者の原因不明の失踪が増えていることに気づき、その背後にある「何か」を探り出して欲しいと依頼される。

早速環は自分の抱えるスタッフに調査を依頼する。環のスタッフは全て警視庁に所属していないスタッフだ。原田柾一郎、倉持真栄、武藤隆の3人は元警察に所属していたのだが、今は夫々の理由により、警察の職を辞していた。原田は私立探偵、倉持は日雇い労働者、武藤は托鉢僧という現職を持つこの3人は全員環に拾われ現在環からの指示で動く部下のような存在である。ちなみに、本書が出版されたのは1995年。環と原田たちの連絡はポケットベルという御時世である(うーむ)。

環は失踪者リストを彼らに渡し、現在どこに住んでいるかという調査を依頼した。程なく調査結果が戻ってきたのだが、何れも、住居を不自然に何度か転々と変えているようだ。なぜ、失踪者は住居を転々としているのか?
更にその失踪者リストに登場するある人物の交友関係から、意外な事件が浮かび上がってくるのだ。

/* こっからネタバレ */
環たちの追っていた若者は、何らかの要因で今までの人生をリセットしたい人たち。しかし、単純に失踪してしまうと、社会的な保証を受けることはできない。そこで、失踪したい人たちの間で戸籍を交換することを思いついたやつがいた。
更に、失踪者の一人、小沼豊はゼックというバンドで違法ドラッグを売買するための幇助を行っていた。ゼックのメンバーは裏に組織があるように思わせ、実は自分達でドラッグを売買していた。

/* ここまでネタバレ */

うーむ。理屈は分かった。しかし、再読してみて「うーむ、そうなのか」という感心というか「なるほどねー」という印象のみで、「おー、凄いこと考えるねー」的な何かがなかったように思われる。

で、一度そんなふうに思ってしまうと、どーも、次にこの作者の本を購入するのをなんとなく躊躇ってしまったりするのだ。最近も何冊か出版されているようであるが、暫く貫井徳郎とは距離を置いてみたいと思ってしまった一冊となってしまった(残念?)。

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【失踪症候群】 貫井徳郎 著
Excerpt: あいつら… とは、誰だ [:びっくり:] 【あらすじ】 「若者たちの失踪の背後にあるものを探って欲しい」依頼に応えて、環敬吾はチームのメンバーに召集をかけた。私立探偵・原田柾一郎、托鉢僧..
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Tracked: 2008-06-10 11:17