2014年11月29日

西尾維新:「掟上今日子の備忘録」 このエントリーをはてなブックマークに追加

掟上今日子の備忘録
掟上今日子の備忘録
posted with amazlet at 14.11.28
西尾 維新 VOFAN
講談社
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りょーち的おすすめ度:お薦め度

探偵とは事件を解決するためにいろんな知識が必要となるんだろう。
この物語に登場する探偵「掟上今日子(おきてがみきょうこ)」さんは記憶力には自身があるようだが唯一の弱点は「一度寝て起きたらそれまでの記憶がリセットされる」ということである。
この設定を聞くと私を含めて多くの人が、小川洋子さんの博士の愛した数式を思い浮かべることだろう。あの博士は半ば世捨て人的な状態になっていたのだが、掟上今日子さんは25歳の女子。
朝起きたらリセットされる今日子さんの記憶のバックアップとして、自らの左腕に「私は掟上今日子。25歳。置手紙探偵事務所所長。白髪、眼鏡。記憶が一日ごとにリセットされる」とマジックで書かれている。毎朝これを見て自分を思い出しているようだ。
寝て起きたら記憶がリセットされる。さらに今日子さんは朝6時に起きて夜11時には寝る。捜査に使える時間は限りなく短い。しかし逆に言えば事件を解決する時間も当然短いため、最速の探偵であるのだ。
探偵への依頼というものはデリケートな内容が多く他人に知られては困るものが多そうだが、その点今日子さんは、記憶が一日ごとにリセットされるため、安心して秘密を打ち明けることができる。何しろ明日には依頼人のことさえも記憶にないのだから。
何しろ一日で事件を解決するから優秀なのは間違いない。

で、探偵小説ってことは何らかの事件が起こり解決するわけだが、もう一人の主人公は隠館厄介(かくしだてやくすけ)。彼の特徴は体が大きいことと事件に巻き込まれ犯人扱いされやすいことである。そのため、常に多くの優秀な探偵が連絡先に登録されている。
掟上今日子さん以外にももちろん優秀な探偵がいるのだろうが、隠館厄介としては掟上今日子さんに惚れているので今日子さんを読んでしまうのだ。しかし、悲しいかな厄介が掟上さんとどんなに楽しい時間(というか、事件に巻き込まれている時間でもあるので本来は楽しい時間ではないはずだが)を過ごしても明日には厄介のことを覚えていない。常に「はじめまして」からスタートである。

物語のパターンとしては
  1. 厄介が事件に巻き込まれ、犯人扱いされる
  2. 掟上今日子さんを呼ぶ
  3. 本日中に事件解決
ってのが王道パターンと思われる。本書は「初めまして、今日子さん」、「紹介します、今日子さん」、「お暇ですか、今日子さん」、「失礼します、今日子さん」、「さようなら、今日子さん」の5つの短編からなるのだが、先の王道パターンは実は「初めまして、今日子さん」でしか適用されていない。
なお、「お暇ですか、今日子さん」、「失礼します、今日子さん」、「さようなら、今日子さん」では、ミステリー小説界の巨匠・須永昼兵衛さんに関連する事件となるが、実はこの須永昼兵衛さんの小説が、掟上今日子さんが探偵になるきっかけになっているようである。
また、二話目以降に登場する一流出版社作創社の編集長にの紺藤さんは以前厄介が作創社で働いていた頃からの知り合いのようだが、何故か初めて合うはずの探偵、掟上さんのことを知っているような感じなのである。

この5つのストーリーは今後の「掟上今日子」シリーズの人物紹介的な位置づけなのかなとも思われる。
主人公の掟上今日子さん、隠館厄介くん、紺藤文房さん、そして名前は出てこないが「事件解決率100パーセント」を誇る「万能の探偵」(厄介はこの探偵を呼ぶのを躊躇しているが)などが今後のシリーズで登場することと思われる。
何故今日子さんは探偵をしているのか?その秘密もシリーズが進むにつれ解き明かされていくことと思われる。
次のシリーズがとても楽しみだ。

気になったのは「備忘録」を辞書で調べると
備忘録(びぼうろく)は、記憶すべき事柄を簡単にメモするための個人的な雑記帳である。
と書かれている。
「掟上今日子の備忘録」とは誰のための「備忘録」なんでしょうかねぇ?
もちろん掟上さんは一日経つと記憶がなくなるので備忘録的なものは必要だとは思うんですが…

あ、肝心の謎解きの部分ももちろん楽しめますよ。時間に制限があることで長編のストーリーは向かないと思われる、この短編向けの探偵物語の続編を早くよみたいですなぁ。
posted by りょーち | Comment(1) | TrackBack(0) | 読書感想文
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