2007年03月14日

梨木香歩:「西の魔女が死んだ」 このエントリーをはてなブックマークに追加

西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ
posted with amazlet on 07.03.12
梨木 香歩
新潮社 (2001/07)
売り上げランキング: 9084

りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは、秋野暢子です(嘘です)。

/* 追記:2006/3/22 ここから */
アスミック・エース エンタテインメント/お知らせを見ると、梨木香歩さんのこの「西の魔女が死んだ」が映画化されるようです!
監督:長崎俊一
原作:梨木香歩 「西の魔女が死んだ」(新潮社刊)
制作:アスミック・エース エンタテインメント
配給:アスミック・エース


長崎俊一さんといえば、坂東眞砂子さんの「死国」や桐野夏生さんの「柔らかな頬」の映画監督っす。おどろおどろしい感じの作品が多い印象だが、この心あたたまるよーな「西の魔女が死んだ」をどう見せるかが注目かも。
/* 追記:2006/3/22 追記ここまで */

本書は登校拒否児となったまいがおばあちゃんこと「西の魔女」との生活により何かに気づき成長していくというストーリーである。とても分かりやすいストーリーで且つ読後に幸せな余韻に浸れそうな素敵な本である。

西の魔女というフレーズを聞くとどうしても「オズの魔法使い」を想像してしまう。しかしこの物語はそういった怪しげな魔術の類は登場してこない。
主人公のまいは中学校に上がってすぐに学校に行くことができなくなった。持病の喘息に端を発し、まいは所謂登校拒否児となる。
そしてまいはママのママ(つまりおばあちゃん)の住む田舎で暫くの間暮らすことになった。おばあちゃんはまいを快く迎えてくれ、そしてその日からおばあちゃんこと「西の魔女」とまいとの生活が始まった。イギリス人の祖母のおばあちゃんはおばあちゃんのおじいちゃんが日本びいきであることから日本に興味を持つようになり、イギリスから日本に英語教師としてやってきた。そして日本人と結婚しまいのママを生み、いまでもイギリスに戻ることなく日本で生活しているのだ。
おばあちゃんとの生活がはじまり、まいは野いちごを使ったジャム作りなどを手伝ったり田舎でのんびりと過ごし始めた。
そんなおばあちゃんはまいに魔女の話しをする。おばあちゃんの祖母は実は魔女であったらしい。魔女といってもおとぎばなしに登場する杖を持ち、怪しげな魔法を操るような魔女ではない。人間が本来誰でも不思議な力を持っている。現代社会においてそれは忘れ去られてしまってはいるが、誰もが持つ不思議な力が弱っているだけなのである。その力はまいにもあるとも言っていた。昔の人は人生の達人(ライフマスター)を指して魔女と言ったのかもしれない。
まいは祖母に「魔女になる修行をしたい」と懇願する。魔女になれればいじめられたりすることもなくなるであろう。まいの申し出をおばあちゃんは快諾し、その日からまいとおばあちゃんの「魔女修行」がはじまった。
スポーツにでも何でも上手くなるためにはまず基礎が必要である。魔女になるための基礎とは精神力を鍛えることである。といっても特別なことではない。第一歩として「早寝早起きをし、食事をしっかりとり、運動をして規則正しい生活を送る」という訓練からであった。まいにとってはこの訓練はとても難しいことであった。更にまいにとって田舎での生活は町での生活とはかなり違い、洗濯一つにしても全自動洗濯機ではなくたらいの中で足踏みをする方法だったり、ひとつひとつが不便な生活である。
最初は戸惑い気味のまいも段々田舎での生活に慣れてき始める。生活の中でまいは「何でも自分で決める」ということを身に付け始めつつあった。まいはおばあちゃんとの日々の生活で生きていくのに必要なモノの考え方が身に付いてくるのだ。そういったモノの考えかたをよく知っている者こそがその昔「魔女」と呼ばれていたのではないかと思う。
魔女との生活によりまいが体験したことはおそらく一生ものの宝物になったことであろう。現代では核家族化が進み、親子三世代でいろいろ話しをすることも少なくなってきているとは思うが、学校での教育とは違った観点で子供が成長するにはやはり家族同士のコミュニケーションは当たり前だが重要なのであろう。
また本書では人の死生観についても書かれている。「人間は死んだらどうなるのか?」という疑問は大人でもちょっとそう簡単には答えることができないであろう。魔女の考える死生観も非常に興味深い。
年頃の子供を持つお父さん、お母さんなどや、小学校の高学年・中学生などにも是非読んで貰えるとよいのではないかと思う。
おばあちゃんの最後の言葉がなんだかとても切なくて可愛くて泣けるっす。

■他の方々のご意見(やはり絶賛である)
posted by りょーち | Comment(2) | TrackBack(0) | 読書感想文
この記事へのコメント
おはようございます。リンクをありがとうございます。

りょーちさんのレビューは、いつもとても良くまとめられていて、読んだときのことを思い出すことが出来ます。

涼は、どうも最後の仲違いしたまま別れた二人が気になって、それ以前の素敵な体験の数々を忘れてしまったのではないかなと反省しました。
Posted by at 2007年03月14日 11:17
涼さん、こんにちは。りょーち@管理人です。
コメントいただきましてありがとうございます。
>どうも最後の仲違いしたまま別れた二人が気になって、
>それ以前の素敵な体験の数々を
>忘れてしまったのではないかなと反省しました。

ふむふむ。気になりますね。
本書で語られる「魔女」という言葉は「ある能力を持ったもの」という位置づけで書かれていると思うのですが、まいの魔女になるための修行は「自分自身で(能力を持つために)成長するための修行=大人になるための訓練」という暗喩なのかなぁとも思ったりしました。
感慨深い一冊でした。
ではでは。
Posted by りょーち at 2007年03月15日 09:17
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