2007年01月09日

服部真澄:「龍の契り」 このエントリーをはてなブックマークに追加

龍の契り
龍の契り
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服部 真澄
新潮社
売り上げランキング: 122,790
おすすめ度の平均: 3.4
2 そうだね・・・
5 壮大なスケール
5 一気呵成!!に読み通させる、この面白さ!


こんにちは、ノックバット大道です(嘘です。ってちょっと危ないか・・・)

服部真澄といえば、世界を股に掛ける国際企業小説で有名である。本書、「龍の契り」は彼女のデビュー作である。本書の最も大きなテーマは香港返還である。

本書を読んだ後、wikipediaなどで調べて知ったのだが、中国がイギリスに香港を譲渡したのが1842年らしい。1997年7月1日に香港が返還されたのだが、本書のハードカバーの平成7年(1995年)7月が初版となっている。香港返還の2年前に発表されたのだ。

この発表された時期とその内容からして、当時少し話題になったはずである。本書は中国とイギリスが締結した返還の条約の他に更なる密約ともいえる文書が存在し、その文書の内容は、1997年に香港は中国に返還できない可能性を秘めた文書であるらしかった。
この文書を巡り、様々な立場の人間が動き出す。あるものは企業の利権を取得するため、あるものは愛する母国のため、あるものは復讐のため・・・

もう10年以上前の作品だが、今読んでも全く古臭さを感じさせないストーリーである。

香港返還を間近に迎えた1995年、長期に亙ってイギリスに「貸し出され」ていた香港は東洋文化と西洋文化が上手く溶け合い世界的繁栄の絶頂期であった。数年後の1997年7月にはイギリスは香港を中国に「返還」することになったのは周知の事実である。当時のイギリスにしてみれば、中英交渉で「港人治港」(香港は香港人が統治する)という中国のトウショウヘイ(「登+おおざと」小平)からの要求をサッチャー首相が飲み、イギリス側から見れば苦汁の決断とも言える形で香港返還が決まった。このままいけば、1997年にはイギリスは香港を返還しなければならない。しかし、もし、「香港は中国に返還しなくてもよい」という密約が中国とイギリスとの間で締結されていたらどうだろう? イギリス側からすれば、今や世界的巨大市場となった香港はアジアの拠点として外交的にも有効に利用できる。アジア文化と共にアジア企業がヨーロッパを席捲する前に密約を白日の下に晒すことで、諸外国からの非難を浴びることなく、合法的に香港を再び手中に入れることができる。この密約文書を巡り、香港・中国・イギリス・アメリカ・日本の外交官・組織・企業人たちが夫々の思惑を旨に世界を駆け巡る!

うーむ、物語として、とてもよくできている。
なんとなく、Webサイトの諸所の感想を拝見すると、どうも否定的な意見が多いのだが、結構楽しめたっす。否定的な意見が多い理由としては、やはり「こんな、偶然ばかりが重なるものか?」ってのが多勢を占めているのだが、まあ、これくらいの偶然がないとフィクションは面白くないっす。ここは服部真澄が大胆に広げた大風呂敷に包まれてみるのもよかろう。

外務省の沢木喬は、世界経済を支配するゴルトシルト財閥のマネーロンダリングに関する疑惑を追及するために、不正に利用されていると思われる上海香港銀行の調査のため香港へと向う。そこには、香港の天才ハッカーのラオ、日本の家電メーカー「ハイパーソニック」の社長の西条達も集結し、手に汗握る頭脳戦が繰り広げられる。

服部真澄は「西洋対東洋」という分かりやすい図式で、中国を含むアジア社会と日本が手に手を取って協力し、日本人がアジア人として活動することにより、アジアが活性化して繁栄するのではなかろうか?という考えが根底にありそうな気がする。
その中心となる日本企業、アジア諸国の企業間でも連携を強固にし、官民一体となったアジアの繁栄が歌われている。
そして、それは、現在の日本を取り巻く世界観を実に上手く言い表しているのではないかと思う。先見の明があったのかもしれないっす。

更に、ワシントンポストのダナ・サマートンとメイミ・タンとの対決、謎の暗殺者「チャーリー」の存在、沢木の同期で結婚退職した女性外交官の正体など、要所要所で面白い伏線が張られており、今読んでも結構面白いっす。

それにしても、よく、こんなストーリー考えるよなぁ・・・
■他の方々のご意見
ひろの東本西走!?
日だまりで読書

posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文
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