2006年12月12日

新堂冬樹:「炎と氷」 このエントリーをはてなブックマークに追加

炎(ひ)と氷
炎(ひ)と氷
posted with amazlet on 06.12.12
新堂 冬樹
祥伝社
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りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは、桂文福です(嘘です)。

「炎と氷」と書いて「ひとこおり」と読ませる。タイトルの意味するものは炎のように熱く燃え滾(たぎ)っている男と、氷のように冷徹で詰めたい男との対決を意味しているものと思われる。
都内で競馬金融を取り仕切る世羅は店舗を持たず、渋谷の場外馬券売場近く喫茶店で商売をしていた。世羅のターゲットは喫茶店のテレビで競馬を見ている人間である。恐ろしいまでに金に貪欲な世羅は自分の金を一円たりとも使うことを嫌悪していた。そんな世羅が経営する競馬金融は所謂「闇金融」と呼ばれるものである。
闇金融とは簡単に言えば、違法な利子を取る金融業の総称である。当然世羅を訪ねてくるものは通常の銀行などでの融資を拒まれるような人間ばかりがやってくる。何故彼らは銀行から金を借りられないかというと、銀行から返済能力がないと見做され、融資審査を通らないからである。そんな人間達が世羅の元を今日も訪れる。
当然世羅の顧客は銀行から見れば、話しにならないくらいの小額の融資を求めてくる。しかも競馬好きである。競馬は常習性があるため、なかなかやめることができない(らしい)。ニッチ且つロングテールとも言えるこのビジネスを手がける世羅は東京に出てきてからも地元熊本の訛りが抜けない。この独特の話し方とそこにいるだけで人を威圧する巨躯と破壊的凶暴残忍な性格も手伝って、闇金融業界の中でも、今やかなり知られた存在となっている。
そんな世羅の経営する七福ローン(どうでもいいけど、新堂冬樹の金融会社のネーミングはどの作品でも似通っている)には、元キャバクラ嬢で、現在は世羅の女であるまりえと、シンナーで頭がイカれた志村など個性的なメンバーが揃っている。
その七福ローンに大手都市銀行の大帝銀行の融資課長の赤星という男が客として金を借りたいとやってきた。金に全く不自由しなさそうで、闇金融とは無縁とも思えるこの赤星は行内の客の金を使い込み、それを補填するために金を借りたいとのことだった。
熟考した末に金を貸した世羅だったが、赤星の背後には赤星を操る別の闇金融業者、若瀬の存在があった・・・
若瀬は世羅の中学時代の同級生で、非常にクレバーな人間だった。中学時代から暴れまわるしか手段のなかった世羅にとって全てのことを金で解決する若瀬の存在は世羅にとって強烈な印象を残した。そして、「この世は金が全て」であることを教えてくれたのも若瀬だった。
高校卒業後、地元九州の暴力団が経営する闇金融業に揃って身をおくことになった、若瀬と世羅は若瀬が世羅をサポートする形でメキメキと業績を上げていた。しかし、その後、若瀬と袂をわかち、お互い別々の道を歩んできた。そんな世羅と若瀬が再び東京で、今度は敵と見方に別れて対決する。炎のような直進型の世羅が勝つのか、心に氷の刃を抱える若瀬が勝つのか・・・

もう「これぞ、新堂冬樹」という程の結末の後味の悪さ。そして救いようのなさ。まさに新堂冬樹ワールド炸裂である。
いちゃもんをつけるとしたら、物語終盤に突如登場する花島の存在だろうか。物語終盤であの解決方法はちょっとなかったかなぁ・・・

なお、炎と氷 DVD版 では、世羅役を 竹内力、若瀬役を 宇梶剛士 が演じているらしい。

うーむ。どっちもリアルで恐ろしい人々だ・・・
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