2005年02月24日

日日日:「ちーちゃんは悠久の向こう」 このエントリーをはてなブックマークに追加

ちーちゃんは悠久の向こう (角川文庫)
日日日
角川書店(角川グループパブリッシング)
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りょーち的おすすめ度:お薦め度

新井素子さんが「あたしの中の……」を発表したのが高校2年生。小林めぐみさんが「ねこたま」を発表したのも高校生の頃だった。素晴らしい若者はたくさんいるんだねー。
そんな中、最近巷を賑わしている高校生作家がいるらしい。その人の名前は日日日(あきら)という。最近この名前を本屋や書評系のWebでよく見かける。一瞬乱視になったのかと思ってしまうようなこの名前。おそらく「晶」という文字からとったペンネームだと思われる。
本書は、第4回新風舎文庫大賞の受賞作。日日日さんは、その他に第1回恋愛小説コンテスト ラブストーリー大賞(私の優しくない先輩)、第6回エンターブレインえんため大賞 佳作(狂乱家族日記)、第8回角川学園小説大賞 優秀賞(アンダカの怪造学)、第1回MF文庫J新人賞 佳作(蟲と眼球とテディベア)などともうそこら中の賞という賞を取りに取りまくっている、今ノリノリの作家さんのようである。

不思議な作品でしたね。この本。ホラー小説、ファンタジー小説、青春小説がミックスされたヘンな空間ですな。主人公の「僕」こと久野悠斗は両親の家庭内暴力に会い虐待されている高校生。隣に住む幼馴染のちーちゃんこと歌島千草とは同じ高校に通い同じクラスの女の子。
ちーちゃんは昔からオカルトとかホラーとか不思議なものが心から大好きで悠斗を怖がらせる話しばかりしていた。そして、幽霊に遭遇するなどの超常現象を体験したいと常日頃から考えていた。そんなちーちゃんは周囲から変わり者扱いされ、教室内でも話しをするのは悠斗だけであり、昼食も悠斗と一緒に食べていた。悠斗とちーちゃんはその後、クラブ活動に入部することになる。本来クラブ活動などやっている暇も金もない悠斗は何故か武藤白(女性)が部長をやっている陸上部へ。ちーちゃんはそのままの思考でオカルト研究会(通称オカ研)のような怪しげな部に入っていく。ちーちゃんはオカ研で発見した「学校の七不思議」を調査すべく悠斗を誘い、手始めに「苔地蔵」の調査に取り掛かる。そこでは男女二種類の血を苔地蔵に与えることにより願いが叶うといわれていた。ちーちゃんと悠斗は苔地蔵に血を分け与え願い事をお願いした。ちーちゃんの願い、それは「幽霊を見ること」だった。
そして、図らずもそのちーちゃんの願いが叶ってしまう。ちーちゃんは幽霊を見ることができるようになったのだ(まじですか?)
しかし、その後ちーちゃんは日に日に壊れていく。ちーちゃんは非日常を求め、両親に虐待され、満足に食事も取ることができなかった悠斗は日常を求めていた。二人の思いは日に日にすれ違ってきた。そして、武藤白の突然の告白を受けた悠斗はちーちゃんへの思いを感じながらも白を受け入れてしまう。

非常に楽しく読めた。ともすれば、かなり陰鬱になりそうなストーリーを作者、日日日の軽妙な文体が解きほぐしてくれる。しかし、その軽妙且つ面白おかしい文体が一層物語りに深い悲しみを与えてくる。ふざけたペンネームで期待せずに読み始めたが彼はイイですよ。椎名誠の「オモシロカナシミズム」とは少し違うのですが、余韻が残る一冊となりました。
これで、高校生ってちょっと凄いよ。そして高校生にして既に多くの小説を書き上げる日日日さんの今後の活躍を是非是非期待したいのだった。


posted by りょーち | Comment(2) | TrackBack(3) | 読書感想文
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございました。
日日日氏は、うわさでは格闘家の前田日明(あきら)氏のファンらしいです。
日明を分解して日日日だということらしいです。
インパクトのある名前ですよね。

高校生とは思えない、言葉の使い方。
一見親からの虐Oは、読んでいる方が重くなってしまいがちですが、ある程度丁寧な言葉が、逆にすっきり読ませてくれると思います。

5冠ですが、かなりの数、他の賞を最終候補の時点で辞退したという話です。
http://monogragh.fc2web.com/log/0502b.html#19_c
凄い!!
とにかく、今後も楽しみに彼の作品を待ちたいですね。
Posted by リオン at 2005年02月24日 21:22
リオンさん、こんにちは。りょーち@管理人です。
>日明を分解して日日日だということらしいです。
そーなんですかー。「日明=あきら」ですからねー。(ガセネタを掲載してしまいました・・・)

>5冠ですが、かなりの数、他の賞を最終候補の時点で辞退したという話です。
ある意味デビューの頃から限りなく職業作家と同レベルの力を保有していたということなんでしょうねー。凄いですね。
今後も楽しみな作家さんです。
リオンさんのページの解説は興味深く拝見させていただきました。確かに「乙一」さんに似てますね。

リオンさんのBlogの「やばいのが出てきちゃったなぁ(>_<)」ってのにはある意味同感です。この「やばさ」を日日日氏にキープしていただきたいものですね。
ではでは。

Posted by りょーち at 2005年02月25日 11:05
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