2006年06月12日

ジョン・トウェルヴ・ホークス:「トラヴェラー」 このエントリーをはてなブックマークに追加

トラヴェラー
トラヴェラー
posted with amazlet on 06.06.12
ジョン・トウェルヴ ホークス John Twelve Hawks 松本 剛史
ソニーマガジンズ (2006/03)

りょーち的おすすめ度:お薦め度

こんにちは、大石吾朗です(嘘です)。

壮大な物語の幕開けともいえる本書。出版前から話題になっていた理由として、あの「ダ・ヴィンチ・コード」の編集者(ジェイソン・カウフマン)が幾多もの作家のオファーを拒み、この無名の作家、ジョン・トウェルヴ ホークスのトラヴェラーを選んだことが挙げられる。

トラヴェラーという題名からもお分かりのように時空を越えることができる人間が登場する。いままでいろんなタイムトラベルの物語が刊行されているが、本書の興味深いところは「パスファインダー(導き手)」という役割を持つ人がトラヴェラーの資質を持つ人を導いてあげる点であろう。

この「トラヴェラー」の世界ではいろんな役割を持つ人が存在する。
現在、この世界を陰で支配している組織は「タビュラ」と呼ばれている。「タビュラ」は全ての人間を支配すべく量子コンピュータを用い、個人の全ての情報を把握している。「タビュラ」の真の目的は、完全なる人間の支配にあり、有史の頃から存在していた。
そして「タビュラ」の存在を脅かすものとして対極に存在するものが「トラヴェラー」である。トラヴェラーはこの世界に肉体を置き、精神だけを別の世界に解き放ち「別の視点」から世界を見ることができるのだ。
このような能力を持つ人間が今まで数多存在していた。そしてそのトラヴェラーを今まで守ってきたのは「ハーレクイン」の一族だった。本書の主役であるマヤという若い女性はこのハーレクインの一族である。マヤは幼少の頃より父からあらゆる殺しのテクニックを教え込まれ、来る日に備え技を磨いている。既に全てのトラヴェラーはタビュラにより抹殺され、この世に存在していないはずであった。しかし、数年間音信不通の父より、トラヴェラーと思われる二人の兄弟が存在することを知らされる。
一方その兄弟、ゲイブリエル・コリガンとマイケル・コリガンの二人は自分がタビュラに狙われていることは知らない。しかし、コリガン兄弟の父は彼らを人目から遠ざけて世を忍ぶ生活を彼らに強いていた。コリガン兄弟の父はこの世界との接点を「グリッド」(格子)と呼び、グリッドと接触することを極端に避けていた。このグリッドこそが「タビュラ」の巨大機械(ヴァストマシン/Vast Machine)と呼ばれる大型量子コンピュータである。
グリッドを避け続けて生活していたコリガン兄弟についにタビュラの追っ手が迫り来る。マヤはハーレクインとしてコリガン兄弟を救出するべくイギリスからアメリカに向う。ゲイブリエルはマヤが救出したが、兄のマイケルはタビュラの手に渡ってしまう。

タビュラの手に渡ったマイケルは不通であれば殺されてしまうはずだったのだが、タビュラの長である、ナッシュ将軍はマイケルを利用し、マイケルを別の世界へと誘うための手助けをはじめる。しかし、それはタビュラたちのある作戦のための序章に過ぎなかった・・・
一方、マヤとゲイブリエルは途中で手助けをしてくれた格闘家のホリスと共に追っ手を逃れた。マヤはゲイブリエルと共にパスファインダーがいるという町へ行く。
マイケルはタビュラに加担し、トラヴェラーになるために、怪しげなクスリを使い「壁」を越えようとする。ゲイブリエルはソフィア・ブリッグズというパスファインダーと共に古典的な方法で「壁」を越えようとする。
トラヴェラーには通常の人間で見ることができない「何か」を見る(感知する)ことができる。果たして、マイケル兄弟は真のトラヴェラーに成り得るのか?
彼らが「光」としてこの世界を越えたとき、そこには何があるのか?

本書は3部作であり、今回の「トラヴェラー」はその第1作目である。そのため、登場人物の背景説明やタビュラ、ハーレクイン、トラヴェラーの組織の関係などについての説明的な文章が多い。
タビュラの管理するヴァストマシンに関しては現実の世界でもかなり近いものが存在するようなリアリティが感じられる書き方がなされている。ヴァストマシンに捕えられれば個人情報保護やプライバシーといったものは皆無に等しく、全ての行動が筒抜けになる。トラヴェラーの世界の住人の多くは自分達がグリッド上に存在しているとは思ってもみないのだ。全ての情報は管理統制制御されインターネット上の情報も誰が何時、何処で、どういった検索キーワードでどの情報にアクセスしたのかなどが全て管理されているトラヴェラーの世界は、実際の世界と然程変わっていないところに恐ろしさを感じてしまう。
あとがきによると、作者のジョン・トウェルヴ・ホークスはなんだか謎の多い人物のようであり、彼自身もグリッドから逃れて生活をしているらしい。Writer's Blog: John Twelve Hawks: Living Off the Grid によると、ニューヨークかロサンゼルスかロンドンかどっかに済んでいて、テレビも持たず、有名な作家がペンネームを使って書いたものでもないらしいことが書かれている。うーむ。

3部作の第2作目がちょいと待ち遠しいが、ハーレクインのマヤとゲイブリエルの恋の行方など、本筋とは異なる部分がちょいと気になってくるっす。

しかし 時をかける少女 もこの夏に角川映画で映画化(アニメーション)されるようだし、今の世の中、トラヴェラーってのはブームなのか?

■他の方々のご意見
その女、腐女子につき・・・:トラヴェラー/ジョン・トウェルヴ ホークス (かなり上手くまとめられている)

posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書感想文
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