りょーち的おすすめ度:

こんにちは、伊吹吾郎です(嘘です)。
雫井脩介の本を読むのは「犯人に告ぐ」以来である。
今まで雫井脩介さんの本では、「虚貌」「火の粉」「犯人に告ぐ」と横山秀夫っぽい路線のものだけしか読んでいなかったのでちょっと意外であったが、ストーリーとしては微笑ましい小説である。
簡単に紹介すると、某教育大に通う堀井香恵という女の子がちょっとだけ人間として成長する過程が綴られた小説である。雫井脩介さん、こういうのも書かれるんですねー。(そうかー、これって恋愛小説なんだーと最後に分かったよ・・・)
そして、香恵が成長するきっかけとなったのは1冊のノートである。下宿先に以前住んでいた人が書き溜めていたと思われる一冊のノートを偶然部屋でみつけた香恵は「プライバシーの侵害?」とも思いながらもノートを読み始める。
ノートの持ち主は真野伊吹という小学校の先生のものであった。
表紙に「伊吹ノート」と書かれたその日記には、伊吹と四年二組の36名が過ごした日々が綴られていた。
女性らしい視点で書かれたそのノートに香恵は親近感を覚えた。
大学で仲のよい友達である、葉菜ちゃんやマンドリンクラブの仲間たちと日々のんびりと大学生活を送っていた香恵にも、好きだと思える人が現れた。香恵のアルバイト先の文房具店で万年筆を探していたイラストレータの卵、石飛隆作だった。
気になる人ができて一番に相談したい葉菜ちゃんはアメリカに留学しており、更に葉菜ちゃんと遠距離恋愛を続けていたと思われる、葉菜ちゃんの彼氏の鹿島さんから「付き合おう」と告白されてしまう。
石飛さんと鹿島さんとの間で揺れる香恵は「伊吹ノート」に勇気付けられながら、石飛を演奏会に誘う。真野伊吹もノートの中で学生時代に好きだった人と再会し、教師の仕事も恋愛も頑張っているよーだった。
伊吹と香恵の恋愛は成就するのか?
ちなみに、読み進めていると「ひょっとして、これはこういうことなのでは?」という軽い謎のよーなものが沸き起こってくるが、おそらくその謎はあなたが想像したそれが答えだったりします(^^; そーいう意味では安心して読めちゃいます。
ラストに「あー、そういうことだったのかー」という軽い納得感があり、軽めの小説としては良作だったような気がする。いままで雫井脩介といえば新堂冬樹と横山秀夫の中間くらいの位置で「ドロドロ」とした刑事小説を書いている作家という印象だったが、こういうのもありかなーとも思った。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、あとがきに雫井脩介さんの実の姉について書かれていた一文を読み「うーむ、そーなのかー」とへんなところで感動してしまった。
春先は環境が変わり、なかなか周囲に溶け込めずぼんやりしてしまう人も多いと思うけど「まあ、なんとかなる」ので頑張っていきましょう。
■他の方々のご意見(ミステリーかと期待した人と違和感なく読めた人と半々?)
・☆トウキョウ番長の読書日記☆: 最終回(『クローズド・ノート』 雫井脩介)
・So-net blog:極楽夜会:「クローズド・ノート」
・椰子の実通信: クローズド・ノート / 雫井脩介著
・うだうだぶつぶつ:雫井脩介『クローズド・ノート』のこと
・kinosy 本の感想 | 「クローズド・ノート」雫井脩介
・でこぽんの読書日記 - クローズド・ノート/雫井脩介
なんと、この「クローズド・ノート」の映画化が決定!
映画のタイトルは「Closed Note」
■公式サイト:
映画「クローズド・ノート」9月29日全国東宝系ロードショー オフィシャルサイト
映画「クローズド・ノート」 オフィシャルブログ Closed Note Blog
■監督:行定勲
■キャスト:
・堀井香恵:沢尻エリカ
・真野伊吹:竹内結子
・石飛隆作(映画では石飛リュウ):伊勢谷友介
・葉菜ちゃん(映画では池内ハナ):サエコ
・可奈子:永作博美
・喜一郎:中村嘉葎雄
・鹿島さん:田中哲司
・山崎星美:板谷由夏
・中沢正道:石橋蓮司
・夏目涼:黄川田将也
・瀬川:篠井英介
・水原君代:山口愛
・君代の母:栗田麗
公開は2007年9月29日の予定らしい。
ちょっと楽しみが増えたかも。
竹内結子さんの伊吹先生は結構良いかも。りょーちのイメージに結構近いっす。沢尻エリカさんの堀井香恵ってのも頷けるね。なかなか配役的にはよいのでは?
トラバ、ありがとうございます。
僕はこの作品で初めて雫井さんを知ったので
全く違和感なく読めました。
むしろ『犯人に告ぐ』を読んで雫井さんの本職(?)がミステリー作家であることを知りましたから!
>全く違和感なく読めました。
ふむふむ。そーなんですかー。
私は、雫井脩介さんのミステリ系の作品から読み始めましたので今回のクローズド・ノートの作風がかなり意外でした。
でも、普段絶対読むことのない恋愛小説を読むことができて「まあ、これはこれでよいか」などと一人で納得してしまいました。
そーいえば、「トウキョウ番長☆」さんのBlogで鷺沢萠さんの「葉桜の日」を取り上げられていらっしゃいましたね。
出版されて直ぐに購入して読んだのですが(かなり昔の話しです)結構インパクトありました。
鷺沢萠さんの新作をもう読むことができないのはやはり寂しいですね・・・
ではでは。
私も、りょーちさん同様にミステリを想像していたパターンでした。
展開はベタだったけれども、筆者の思い入れを感じる内容でしたね。
コメントいただきましてありがとうございます。
>ミステリを想像していたパターンでした
そーなんです。私もなんです。
でも、あとがきを見るとちょっとホロリときてしまいました。
雫井脩介さんの本格ミステリーも非常に待ち遠しい今日この頃です。
ではでは。
お願いします。
この小説、じつはあとがきを読んだ時が1番ジ〜ンときますよね。だからあんなにリアリティーがある優しい文章が書けたんだって納得できましたし。
>じつはあとがきを読んだ時が1番ジ〜ンときますよね
そーですね。
なんだか、あとがきも含めて本文のよーな気がします。なかなかよかったのではないでしょうか。
映画についてはなんだか沢尻エリカさんの発言などの別のところで盛り上がってしまったのでちょっと残念でした。
ではでは。
雫井さんのサスペンスは流石の一言です。
大好きなんですよね。
犯人に告ぐは特に秀逸です(個人的に、ですが)。
最近読んだ「途中の一歩 上・下」は、
どちらかといえば人間ドラマ系。
結構量が多いですが、さらりと読み切れました。
ネットで他の本も探していたら、こちらに
たどり着いたのですが、
こちらのほかにも雫井さんを解析?している
サイトがあって、ちょっと驚いた〜。
http://www.birthday-energy.co.jp/
「発想も大胆で、素材を見つけて加工するのが得意」
だったり
最近は「恋愛や家族物にまで作風を拡げた。」
とか。
いろんな方向性でその才能を発揮いただければうれしいですね、読者として。
コメントありがとうございます。
私も「犯人に告ぐ」はかなり好きな作品です。
クローズドノートは映画化の時に別の方向でいろいろ話題になったのが残念でしたね。
「途中の一歩」は未読なのでちょっとチェックしてみます。
ではでは。