りょーち的おすすめ度:

いと、微妙な小説だった。
最悪 や、 イン・ザ・プール でおなじみの奥田英朗氏のデビュー作のようである。
奥田英朗氏といえば、今や書籍を出せば本の帯に「直木賞受賞作家」と掲げられるようになった素晴らしい作家さんである。
最悪 や 邪魔 に見られる緊迫感や焦燥感といったものは本書では切実には感じられないが、本書の主人公は緊迫感と焦燥感の渦中にいる。
本書の主人公のジョンはある悩みのため焦っている。その悩みとは便秘である。いやマジで。本書のその殆どが便秘の悩みとその解消法の模索のために割り当てられている。このジョンには実在するモデルが存在する。
そう、あのビートルズのメンバーのジョン・レノンである。ビートルズのメンバーのジョンだよってのは特に本文には書かれていないのだが「絶対そうじゃん」というエピソードが満載である。本物のジョン・レノンは日本人のオノ・ヨーコと結婚して、暗殺されちゃうという悲劇のヒーローっぽい印象を持っていたんだけど、ウランバーナの森にでてくるジョンはどうもあまりかっこよくない。ひたすら便秘に悩んだ中年のうだつの上がらないミュージシャン的な描写である。
深読み(浅いか?)すれば、この便秘がミュージシャンとしての創作活動における生みの苦しみとリンクしていて云々などと言えるかもしれないけど、どうも今ひとつ感情移入し辛い印象だった。
軽井沢の別荘に滞在していたジョンに突如襲いかかる「便秘」という大敵に妻のケイコは夏しか行っていない軽井沢の診療所を紹介する。診療所の先生の話しを聞きながら森の中を歩くジョンに過去からの人物の声が聞こえてくる。
それは母親だったり、かつて自分が殺した(かもしれない)人物だったり、少年時代に精神的に酷く傷つけたガールフレンドの母親だったり、生前いじめ続けたマネージャーのブライアンだったり、クスリで急逝したメンバーだったりする。この森で過去の人物に向き合ったジョンは次第に心を開きはじめる。
お盆にはなくなられた人が帰ってくるようですが、それは生きている人のための行事であって既になくなられた方へのイベントではなかったりするのかなーと思いました。お墓参りもそうですかねー。でも、なくなられた方と生きている方とを結ぶ接点として日本のお盆という慣習は案外なしではないのかなーとも思ったりした。
※奥田英朗さん作品一覧
りょーちさん。
早速ですが、りょーちさんからお薦めしていただいていた山本文緒の「パイナップルの彼方」よみましたよ〜〜。
とてもよかったです!
一気に読んでしまいました。
教えていただいてありがとう!
それから、奥田英朗は私も何冊かは読みました。
いい本を書く人ですよね。
でも、この「ウランバーナの森」は読んでません。
★三つですか?
うーん、読むのどうしようかなぁ・・って迷ってしまってます(笑)
>「パイナップルの彼方」よみましたよ〜〜
お、そーですかー。りょーちが読んだのはかなり前で装丁も変わっていましたが結構よかった記憶があります。
当時女性の作家を読むぞーという衝動に駆られていろいろ読みましたね。
強烈なインパクトを受けたのは、島村洋子さんの「美人物語」です。めちゃくちゃ面白かったです。同じ顔を持つ性格の悪い美人と性格のいい美人が戦う物語がコメディタッチで書かれていて読みながら爆笑した記憶があります。
奥田英朗さんの「ウランバーナの森」はりょーちはあまり響きませんでしたが、他のサイトを見るとよさそうなことも書いていらっしゃいますので「なし」ではないのかもしれません。
今後ともよろしくお願いいたします。
ではでは。
どういう趣旨か連絡いただけませんか?
>私のHPのリンクをしていただいたようですが、いきなりで書き込みがなかったので、何方かな〜?と思っている次第です。
>どういう趣旨か連絡いただけませんか?
ウランバーナの森についての感想が掲載されていたようなので、トラックバックを送ってしまいました。
不快に思われたのであれば、申し訳ありませんでした。
では。