りょーち的おすすめ度:

やはり宮部みゆきは凄いね。最後にキチンと物語をまとめてくる。カチャッと音がしたように美しく物語を終えることができる推理小説作家って結構数が少ないかも。なんとなくあやふやなまま「その後どうなったかは読者に判断を委ねる」的ではなく綺麗にパズルが嵌った感じの小説だった。
R.P.G.と言う言葉はゲームでも有名なので、日本でもかなり市民権を得たと思う。ロールプレイングゲーム(Role Playing Game)つまり、役割を演じるゲームってことだ。宮部みゆきのR.P.G.は本来のこの言葉の持つ意味通りの小説であった。
誰が何の役割を演じているかというと、ネット上で知り合った赤の他人がネット上で擬似家族として父親・母親・兄・妹の役割を演じている。
本書を読んだ方はおわかりかと思うが、この「役割を演じる」という部分が二重の意味で用いられているところが秀逸である(ってあまり書いちゃうとネタバレになるのだが・・・)
所田良介はオリオンフーズの課長であり、妻の春恵と娘の一美の三人家族である。この所田良介が殺されたところから物語は始まり、誰が犯人なのかを捜していく。捜査を進めていくうちに、別の場所で殺害された今井直子というカラオケボックスのアルバイトの女性の事件との関連性が明らかになる。
更に捜査を進めていくうちに、どうやら所田良介はネット上で擬似家族として「お父さん」を演じていたことが判明する。
「お父さん」の自宅のパソコンには、ネット上で知り合った擬似家族とのメールのやり取りが克明に記されており、犯人を追及する手がかりとして利用されている。
アドレスから、「お母さん」役の三田佳恵、「兄」役の北条稔、「妹」役の加原律子が浮かび上がる。三人を取り調べる様を本物の娘の所田一美にマジックミラー越しに見せながら物語は進んでいく。
取調べの中で浮かび上がる新事実に所田一美は嫌悪しながらも、真犯人が誰なのかを見極めようとする。
作者の宮部みゆきも後書きでそれらしきことを言及しているが、ホントに戯曲として舞台化できるような作品だと思う。全編に亙り、その殆どが取調室内での出来事というのも舞台化できる要因のひとつかもしれない。
この小説はNHKでテレビドラマ化されていて(平成15年)モーニング娘。の後藤真希が出演していたようだ。(ドラマよりもやはり舞台だよなーとも思うが・・・)
また、本書は書き下ろしなのだが、捜査に当たる刑事が、模倣犯の武上刑事とクロスファイアの石津刑事が共演(?)しているところもファンにとっては嬉しいサービスかも。
※大極宮(大沢在昌さん・京極夏彦さん・宮部みゆきさんの公式サイト)
■他の方々のご意見
・ロックルのエンタメ日記: 「R.P.G.」宮部みゆき
・ご本といえばblog:宮部みゆき 「R.P.G」 - livedoor Blog(ブログ)
・Mistery blog : 宮部みゆき「R.P.G」
・テキスケ: 『R.P.G.』(宮部みゆき)
・ミステリな日々:R.P.G.【宮部みゆき】
・KOROPPYの本棚: 『R.P.G』 宮部みゆき
・読んだモノの感想をぶっきらぼうに語るBlog : R.P.G. (宮部みゆき)
・「R.P.G.」/宮部みゆき(集英社文庫) 乱読家ノススメ/ウェブリブログ
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りょーちさん。今年もよろしくお願いします!
ところで、わたしもこの本読みましたよ!
すごかったですよね〜〜!
一気によみました。予想外の結末にさすが宮部みゆきだと思いました!
宮部みゆきさん、初の文庫書き下ろしというだけあって、なかなかいい感じでした。
宮部みゆきさんは安心して読めるのでイイですねー。流石に「ミステリー界の王女さま」という感じですね。ちなみに、「ミステリー界の女王さま」は高村薫さんのようです(^^;
ちなみに、ゆうさんは宮部みゆきさんの時代劇モノをよくお読みなのですか? りょーちはまだ時代劇モノを読んでいないので、時間があれば(これが難しいのですが・・・)読んでみたいと思います。
今後も新作に期待大です。
ではでは。
私もこの作品で宮部みゆきの実力を再確認したようなところがあります。
私は舞台をまったくみた事がないので、いまいちピンときませんが、
想像する範囲では楽しい舞台になるだろうな、とは感じます。
りょーちさんのあらすじをネタばれにならない程度に紹介するのって
すごく上手ですね。
私はあらすじをすぐに忘れてしまうせいもあり、内容にはほとんど触れないで
レビューを書いています。
いつかりょーちさんみたいなレビューを1本でもいいから書いてみたいです。
またちょくちょくお邪魔させていただきます。
>りょーちさんのあらすじをネタばれにならない程度に紹介するのって
>すごく上手ですね。
いえいえ、とんでもありません。乱れた日本語を披瀝してしまいましてお恥ずかしい限りです。
ロックルさんのサイトはいろいろなことについて書かれていらっしゃいますねー。
「境界例」のお話しなどは正直難しすぎて理解が困難でした。
今後ともよろしくお願いいたします。
ではでは。
あとがきで「ごめんなさい」していることもあり、
(途中で犯人が分かっちゃうからいいのですが)
ミステリというよりエンターテイメントとして楽しみました。
武上刑事と石津刑事の競演、よかったですよね〜!
単に過去の登場人物を出すだけの内輪ネタに終わらなくて、
それぞれの個性や能力がしっくり捜査に馴染んでいましたね。
彼らじゃなくちゃ、この仕事はできないな、と。
>武上刑事と石津刑事の競演、よかったですよね〜!
そーですねー。熱狂的宮部ファンには垂涎ものですね(^^;
彼らの振る舞いも本編のキャラにあった動きで、きっと石津さんがったらこう言うんじゃないかなーってのがそのままセリフになってたりとちょいと好感度は高かったです。
後藤真希のドラマも是非見て見たかったです(^^;
ではでは。
>設定とか雰囲気は舞台向きカも知れないですね
そーなんですよねー。
割と取調室での話しが多いので舞台などでもできそうな雰囲気だなーと思いました。
この作品のタイトル「R.P.G」は本書にぴったりのタイトルだなーと再確認しちゃいました。
ではでは。
私は小説が面白かったので、ドラマも見ました。
でも、あの作品は「小説だからこそ」良かった気がします。
ドラマはイマイチでした。
後藤真希さんの演じる娘はハマリ役でしたけどね。(演技の上手さは別として)
コメントいただきましてありがとうございます。
>でも、あの作品は「小説だからこそ」良かった気がします。
>ドラマはイマイチでした。
そーなんですかー。ドラマだと文字通りR.P.G.という「役割を演じる」という部分が二重構造(三重構造?)になってしまうため、小説を読んだ人には更にバイアスがかかってしまうのかもしれませんね。
この小説はやはり宮部みゆきさんだけあって、プロットがかなりしっかりしていますよね。
宮部みゆきさんの小説って「ゴールまで寄り道せずに突き進む」ってイメージがあるのですが、本書も無駄のないコンパクトな良作だったと思います。
ではでは。
コメントいただきましてありがとうございます。
>でも読んでみてアアこうゆう事かと思いましたよ。
私も、途中までは「うーむ、これは何なんだ?」と思いましたが「○○が電話するところ」で「おー、そーいうことだったのかぁ・・・(若干ネタバレ?)」とやっと理解できました(^^;
納得の一冊でした。ではでは。