りょーち的おすすめ度:

泣かせどころを分かっている作家だな。横山秀夫。
クライマーズ・ハイを読んでそう思った。すごいイイ作品なんだけど、りょーちとしては、最後の方で作者に「はい、このページから泣くところですよ」と薦められるような印象を受けた。いや、でもいいんですよ、「クライマーズ・ハイ」。
はじめ、りょーちはこの「クライマーズ・ハイ」という言葉を聞いて「マラソンランナーのあれね」と完璧に「ランナーズ・ハイ」と混同していた。(ダメだった・・・)
本書は山岳小説として読むよりも、どっちかといえば事件ものの小説として書かれている。山岳小説と言えば、りょーちは夢枕獏氏の神々の山嶺(いただき)を絶対に薦める。これは間違いなく傑作である。山好きの人は是非読んで欲しい。
で、本書の「クライマーズ・ハイ」なのだが、新聞記者の視点で骨子となる「ある事件」を中心に物語が進む。
ある事件とは「日航機墜落事故」である。若い人々はご存じないかもしれませんが、最悪の航空機事故であった。
(googleで調べればいいのですが)りょーちの不確かな記憶では、確か事故は月曜日に起こったような気がする。何故月曜日と記憶しているかといえば、当時「中島みゆきのオールナイトニッポン」を聞こうと深夜1時にラジオをつけたら、日航機墜落事故のニュースを延々とやっていたよーな記憶があるからだ。
本書はこの「日航機墜落事故」を物語の中心におき、進められる。
群馬の地方新聞社「北関東新聞」の記者、悠木和雄は会社の飲み会で偶然知り合った同僚で山好きの安西に誘われ山に登るようになった「遅咲きクライマー」である。安西は記者ではなく販売局の社員であり、中途で北関東新聞に入社した。悠木は安西と谷川岳の衝立岩に登る予定だったが、出発日当日、急遽「日航機墜落事故」という凄惨な事件が起こり、安西との待ち合わせ場所に行くことができなかった。
悠木は急遽、日航機の全権デスクに任命され、新聞社を離れることができなかった。一人で衝立に登ったと思っていた安西は、山とは全く関係のない場所で倒れてしまい入院を余儀なくされる。
地方新聞社の社内の軋轢、息子の淳との関係、安西の息子の燐太郎とのやり取りなど、見せ場はいろいろある。
若手の記者達と頭の固い上司との狭間で板ばさみに苦悩する様は、古い頭の経営者が厭らしく書かれており、読んでいて非常に歯痒い思いもした。日航機墜落事故では遺族の方々は非常に辛い思いをしたと思う。事故と全く関係ないりょーちが言及することで事故そのものが薄っぺらくなってしまう可能性を秘めているのかもしれないが、当時の報道資料などを拝見した限りでは今後の航空機事故の抑止に繋がっていると信じたい。
ただ、本書はどうも欲張り過ぎて骨子が見え辛く、本書の落としどころはどこだったのか曖昧な作品になってしまったよーな気がした。ストーリー的にはちょっと感情移入しづらかったのであるが、描かれる人物は非常に魅力的だ。
しかし、それを補うリアリティーが本書にはあったと思う。このあたりが横山秀夫の上手いと思わせるところなのかなー。
気分のよいときにもう一度読んでみたいと思った。
ちなみに、今回からbk1のリンクを前回の記事で書いたamazon2bk1のBookMarkletを利用して書いてみた。(いや、内容は変わらないんですけどね・・・)
意外と便利で、Googleで書籍名を入力して検索すると、殆ど確実にamazonのサイトにナビゲートしてくれる。そこで、amazon2bk1のBookMarkletを利用すると直ぐにリンクが作れて便利。うーむ、いいね。BookMarklet。
このストーリーは、当時のことを思い出させてくれて、とても感慨深かったのです。
当時は携帯がなかったから、山からの報告がこんなにも大変だったなんて、思いもしませんでした。
そんな、ドキュメンタリータッチなところも、気に入ったこの一冊です。
伊坂幸太郎さんの作品も、お好きなようですね。
わたしは彼の、人を食った作風が大好きです。
こんごとも、よろしく。
『クライマーズハイ』読んでみたくなりました!
日航機墜落事故に関しての本には、なぜかしら興味があり、『墜落遺体』(ノンフィクション)、『沈まぬ太陽』などを読みました。
横山秀夫ということで、ますます興味津々ですね!(まだ手にした事のない作家サンなので余計です)
ところで、私も中島みゆきのオールナイトニッポンはよく聞いてましたよ〜〜。
>当時は携帯がなかったから、山からの報告がこんなにも大変だったなんて、思いもしませんでした。
そーですよね。現在の日本は携帯文化が蔓延していますが、当時はとても大変だったと思います。
御巣鷹山では通じないかもしれませんが、安西への連絡はできたかもしれませんね。そうするとストーリーとしてはまた違ったものになったのではないかと思います。
>伊坂幸太郎さんの作品も、お好きなようですね。
>わたしは彼の、人を食った作風が大好きです。
伊坂幸太郎さんは「オーデュボンの祈り」しかまだ読めていないのですが、いろいろなサイトを拝見いたしますと、かなりよさそうですね。
個人的には次は「チルドレン」を読みたいです。
読みたい本が多すぎて最近困っているりょーちでした。
今後ともよろしくお願いいたします。
いろいろなサイトを拝見しておりますと「沈まぬ太陽」は結構よさそうですね。
>私も中島みゆきのオールナイトニッポンはよく聞いてましたよ〜〜
りょーちは、特にファンということでもなかったのですが、聞いてましたねー。作品とのギャップが凄かったです・・・
当時のオールナイトニッポンでは、ビートたけしやタモリなど、今考えると豪華メンバーでしたねー。
「沈まぬ太陽」は積読が終わったら(終わるのか?)チャレンジしたい一作です。
ではでは。
男性の視点で描かれていて、久々にしっかりした小説を読んだなあ。という感想でした。
確かに欲張りなぐらいいろんな要素が盛りだくさんでしたね。
りょーちさんと重なるのは「火の粉」しかないです。
たくさん本を読んでるんですね〜!!
私も来年こそはもっと読みたいと思ってます。
TB有難うございますm(__)m。
TB返しと「川の深さは」にもTBさせていただきました。
それからついでにMybloglistにも加えさせていただきました(笑)。
りょーちさんの書評だけでなく、アフィリエイトの記事もとっても参考になります。これから色々取り入れさせていただこうと思ってます。
>りょーちさんと重なるのは「火の粉」しかないです。
「火の粉」を最近読みましたが、ホントによかったです。現在は雫井さんの「虚貌」を読みはじめているのですが、結構よさそうですね。東野圭吾さんの「白夜行」と奥田英朗さんの「最悪」を少し思わせるような滑り出しですね。
「虚貌」はりょーちの冬休みの課題図書となることでしょう。宿題の感想文は年明けに提出(?)できそうです。
そーいえば、ありんこママさんのBlogで紹介されていた「ポーラー・エクスプレス」を私も見ました。結構感動しましたよ。
ちなみに私の鈴は悲しいことにもう音はしません(^^;
ありんこママさんのページも今後(こっそり)お邪魔いたしまーす。
ではでは。
>TB返しと「川の深さは」にもTBさせていただきました。
くろーん40さんのサイトでは「川の深さは」は辛口のコメントですね(^^;
>アフィリエイトの記事もとっても参考になります
恐れ入ります。
最近のりょーちの興味としてはアフィリエイトよりもネットワーク上でのコミュニケーションに興味がシフトしています。アフィリエイトはしばらくお休みかなー。
そーいえば、くろーん40さんのサイトを拝見してまして、りょーちと読書の傾向が似ているなーと感じました。
歌野晶午、福井晴敏、横山秀夫、桐野夏生、伊坂幸太郎あたりはりょーちもテリトリー(?)ですね。ちなみにりょーちのお薦め作家さんは、このサイトでも何度か紹介している貫井徳郎さんです。もしご興味ありましたら図書館などでお借りいただければと思います。
また、くろーん40さんのサイトにもお邪魔いたします。
ではでは。
逆噴射して羽田沖に墜落しました
>片桐機長が逆噴射して墜落したのではありません
>機長は高浜さんです、
あ、そーだったんですねー。
ご指摘ありがとうございました。
早速直しておきまーす。
ではでは。
りょーちさん、間違ってなくないですか?
>逆噴射機長は片桐さんで、御巣鷹山に墜落したジャンボの機長が高浜さんじゃないですか?
そうみたいですね。ご指摘ありがとうございます。