りょーち的おすすめ度:

こんにちは。エド山口です(嘘です)。
防災科学技術研究所 によると震度について
自分のいる所がどれくらい揺れたかを示す尺度が「震度」です。
といった説明がある。震度は0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7という10段階存在するらしい。りょーちは1から7くらいしか知らなかったが、どうやら震度0というものもあるようだ。震度0とは微弱振動で、殆どの人は気付かないレベルの揺れであり人間が感じない無感地震を震度0としている。
本書「震度0」は神戸で起きた 阪神・淡路大震災 のあった日にとあるN県で起きた警察組織でのお話しであり、殆ど阪神・淡路大震災とはストーリーのプロット上関連はしていない。
その日、神戸から約700kmほどはなれたN県警本部では県警を揺るがす事件が起こっていた。N県警察本部の警務課長の不破義仁が失踪したのだ。県警内で不破の失踪を始めに知ったのはN県警本部の警務部長の冬木優一だった。不破の住む官舎に電話をかけた冬木は不破の妻である静江より不破が昨夜から官舎に戻ってきていない事実を知る。
N県警で今大きなヤマは台湾人ホステス殺害の容疑者である三沢徹の身柄確保にあった。県内に非常線を張っていたのだが、三沢の足取りは未だ掴めていない。三沢が乗り捨てたと思われる盗難車を捕捉していたのだが操作網を掻い潜って逃げられてしまったのだ。
N県警刑事部長の藤巻は事件を捜査していた瀧川より東山市の途上に不破のマイカーが路上駐車されていたのを発見したという。不破の車は「Nシステム(自動ナンバー読み取り装置)」には捕捉されていなかった。状況だけ考えれば、車の持ち主の不破は行方不明で車のみ乗り捨てられたということである。そして不破は未だに行方不明のままである。不破はどこに失踪したのか?
本書では阪神大震災とは直接的に関連した話しではなく、震災が反語的な隠喩として用いられている。行方不明の不破を巡り県警のトップ層が右往左往している様子を綴った小説に見える。
横山秀夫はこの「震度0」で何が書きたかったのか?
どうも、そこが今ひとつ見えてこなかった(りょーちの理解力が欠如しているだけだと思うのですが・・・)
一番目に付いたキャラとしてはN県警生活案全部長の倉本というどうしようもない人間。倉本の会話を聞いているだけでいやな気持ちにさせられる。以前書いた 雫井脩介「犯人に告ぐ」の感想 でも言及したが「犯人に告ぐ」に登場する植草のような男だといえば共感できる方もいるかも知れない。
「震度0」を読むと、警察組織内部での不祥事は数人の権力者が集えばいくらでも揉み消しが可能な組織なのだなあと思えてくる。
横山秀夫の警察小説が一般の推理小説と異なる大きな特徴は表舞台で捜査活動の実働部隊として動き回る刑事のような人間でなく内部の人間(中の人?)にスポットを当てた小説が多いことだろう。「顔 FACE」の平野瑞穂は広報室、電話相談員。「陰の季節」では人事課の二渡真治。「地の声」では警務部監察課の新堂隆義。「黒い線」では「顔 FACE」の主人公の平山瑞穂は機動鑑識班で似顔絵を作成。「鞄」では警務部秘書課の柘植正樹などなど、やはり中の人中心の警察小説なのだ。
「震度0」では「陰の季節」の二渡と同様、警務課長という警察内では特殊な肩書きを持つ不破が取り上げられた。警務課とは一般的な企業における人事部のような部署である。県警本部の警務課長は数千人を抱える県警組織の人事部門の筆頭課長ということになり、県警人事の殆ど全てを司るといっても過言ではない。だからこそ不破の失踪は県警トップから見れば阪神大震災以上のネタなのだ。外部にこの事実が漏れようものならば大変な不祥事であり一触即発のスキャンダルを抱えた状態だったのだ。
物語後半で不破の行方が判明した際の静江の心情を創造するとやりきれない気持ちになる。ひとりも良い人間が出てこない小説を読み読後感は著しくよろしくない。読みどころはどこだったのだろう・・・(期待高すぎたのかな?)
TBを返しているつもりなのですが、反映されましぇん(ToT)
でも、どんどんTBしてくださいませ。
なぜだろう?なぜかしら?
いつも「本のことども」を拝見させていただいております(^^;
聖月さんも言及されてみえますが、警務課ってあるんだーって感じですよね。題名の「震度0」は確かに書籍販売戦略としてはマッチしていないのかもしれませんね。
ことなかれ主義として無風状態を警察上層部がもみ消そうとする行為を指して「震度0」という暗喩として題名をつけたような気もしますねー。
今後も「本のことども」を(こっそり)拝見させていただきます(^^;
ではでは。
この作品、評判イマイチなんですが、私的にはドロドロしたところ、嫌いじゃないですw。
三崎氏の記事にもTBさせてもらいました。
コメントいただきありがとうございます。
>私的にはドロドロしたところ、嫌いじゃないですw。
ドロドロしてますねー。
警察組織内部の小説といえば横山秀夫というまでになってしまい、今や売れっ子作家としてご活躍されている横山秀夫さんだけに、いろいろ期待していたところもあったので辛口になってしまいました(^^;
でもこの警察内部のドロドロ感は横山秀夫の真骨頂ともいえるのかもしれませんね。(持ち味?)
ではでは。