2008年12月12日

森博嗣:「Φは壊れたね」 このエントリーをはてなブックマークに追加

Φは壊れたね (講談社ノベルス)
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 213601
おすすめ度の平均: 3.0
3 Gシリーズ開幕.しかし、インパクトはいまいち・・・
2 10冊読むつもりで
2 文章的に少々難解
2 森博嗣作品を初めて読む人は止めた方がいい!
4 コピー・ライター的センスが凄い

りょーち的おすすめ度:お薦め度

久々に森博嗣を読んだな。

今まで、犀川創平&西之園萌絵シリーズ(所謂「S&Mシリーズ」)は読んだことがあったが、この「φは壊れたね」は新しいシリーズのよーである。

とはいえ、西之園萌絵も登場するし犀川先生も登場するんだな。
うーむまだこの一作しか読んでないが結構いいのではと思う(今更言うことか?)

今回の探偵役は海月及介というとても無口な少年。いやー、この設定すごいわ。
海月(くらげ)及介は安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)に近い探偵なのかもしれないね。
三毛猫ホームズの片山刑事のよーに血が嫌いだから嫌だっていうケースは除き、こんなに事件に消極的な探偵は他ではお目にかかれないかもな。そこが面白い。
前作を読んだ方はこの海月及介と犀川創平がいろんなところでオーバーラップして見えるに違いない。

ストーリーはとあるマンションの一室で死体が発見されるところから始まるな。
死体で発見されたのはマンションの住人でN芸大の町田弘司。
密室での殺人に加え部屋の中で宙吊りにされた状態。
第一発見者は同じ大学の戸川優と白金瑞穂。

で、なぜかその殺人事件の発見時のビデオが録画されていたのだ。
そのビデオにはタイトルとして「φは壊れたね」と書かれている。

このビデオと状況証拠を元に事件を解決していくわけだ。

登場人物の中で事件に直接関係ありそうな人物は以下の人物
戸川優、白金瑞穂、町田弘司(以上N芸大)、船元茂樹(フリータ)、佐藤憲一(宅配便の配達人)、岸野清一(新聞配達人)、馬岡芳樹(町田の隣人)、黒澤道彦(大家)、赤柳初朗(探偵)【文庫記載順通り】

「この中に必ず犯人がいます。さて、誰でしょう?」というフーダニットものだね。
西之園萌絵も相変わらず事件に首を突っ込みたがるのだが、スーパーバイザー的な立ち位置のような気がした。西之園萌絵も大人になったか?
まあ、繰り返しになるが海月及介がやっぱすごいな。これ以上ないという必要最小限の動きで犯人を推理(というか想像)していく。

ただ、今回釈然としなかったのは読み終わって犯人が殺人に及んだ動機がいまひとつよくわからなかった点かな。(何か明確な動機ってありましたっけ? →既読の方々)

次回作は未読なので海月及介が相変わらず活躍するのかよくわかってないが、犀川創平&西之園萌絵ではなく海月及介&加部谷恵美&山吹早月って構成も結構イイかもな。淡々と物語が進むように見えるのはこの海月及介のキャラに起因するのかもしれない。

苦言を呈するなら、ひとつある。
この本って、余白が多すぎやしないか?
通常の単行本でもよいような気がするがノベルズでやっぱ出したかったんだろうな。
posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文
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