2008年11月12日

宮部みゆき:「火車」 このエントリーをはてなブックマークに追加

火車 (新潮文庫)
火車 (新潮文庫)
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宮部 みゆき
新潮社
売り上げランキング: 1937
おすすめ度の平均: 4.5
5 これを読まずして何を読む!
4 ・・・。
4 終盤になってヒロインと決別…。
1 どこが良いのか…
4 良くできたサスペンス

りょーち的おすすめ度:お薦め度

何回目だかもう忘れたが最近読んでなかったので再読してみた。すごい久々に読んだが、やはり素晴らしいな。
世の中の多くの人々が宮部みゆきという作家を知るきっかけになったと思われるこの火車。
ストーリーが複雑とは思わないが、人間関係が複雑だな。もっと言えば、人間関係が複雑になるよーなストーリーなんだな。

怪我により休職中の刑事本間俊介の元に親戚の栗坂和也という青年から自分の婚約者の関根彰子が失踪したため探して欲しいと依頼される。関根彰子の勤務先などから足取りを掴もうと調査を始める。探せば探すほど、関根彰子という女性の過去に不思議な点が見つかってくる。
調査途中に知り合った弁護士の溝口やその他の関係者の話から「関根彰子が自己破産していること」「母が謎の死を遂げている」「関根彰子の戸籍に不審な点がある」ということがわかってくる。
で、どうやら関根彰子は誰か別の人間が関根彰子を名乗っていることがわかり始めてくる。

関根彰子を語る人物は誰なのか?
どうやって別人になったのか?
本物の関根彰子はどこにいるのか?

本間と関根彰子の幼馴染の本多保が地道な聞き込みや閃きにより真実に近づいていくプロセスはやはり宮部みゆきならではの「巧みの技」ともいえるうまさがある。無駄がないよな。ホントに。

1992年に出版されたこの火車。本書ではカードローンによる自己破産という社会問題を中心にストーリーが進められる。弁護士の溝口が「カードローンによる自己破産は特別な人が起こすわけではなく誰もに起こりうること」といったことを述べている。現在を見てみるとキャッシングのCMが日常的にテレビで放映され、カードローンの暗部がぼかされて喧伝されている気がするね。15年以上前の作品のこの火車で宮部みゆきが綴った警鐘を今一度思い出して欲しいものである。

個人的には本多保とその妻郁美が好印象。郁美の夫を立てるところは立てつつもきちんと自分の主張するところは主張するという性格はちょっといいね。
ラストも読者の想像に任せたあの終わり方でよかったような気がする。まだミステリーを読み始めの頃に読んだこの一冊だが「こういうラストもありなんだねぇ」と感じたな。このラストでの新城喬子はどういう気持ちだったんだろなぁ・・・ 逃げ続ける人生に疲れないのか?

なお、この火車は1994年2月5日にテレビ朝日系土曜ワイド劇場枠で『火車 カード破産の女!』というタイトルでドラマ化されたのだった。
このドラマを見たことがあるのだが、2時間ドラマにしてはよくがんばったのではという気がする。火車 (小説) - Wikipediaによると、キャストはこんな感じだったらしい。
本間俊介:三田村邦彦
新城喬子:財前直見
関根彰子:森口瑤子
本多保:沢向要士
栗坂和也:山下規介

うーむ、配役に時代を感じるね。
posted by りょーち | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文
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