綾辻 行人
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-11-25)
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久々に綾辻行人さんの小説を読んだ。綾辻行人さんと言えば誰もが知るミステリー小説作家。書店に平積みされていたこの小説もミステリーかなと思い、何の気なしに購入してしまった。まあ、結果としては良かった。
家に帰って手にとってよく見ると、この「Another」はこの冬からアニメで放映されているようである。なるほど、それで平積みになっていたのか。
Another - Wikipediaによると『野性時代』(角川書店)にて2006年8月号から2009年5月号まで連載され、2009年10月29日に単行本が発売されたようだ。
TVアニメ Another 公式サイトさて、内容だが、なかなかよろしかった。
通常推理小説といえば「誰かが死んで、その犯人は誰?」とかそういうパターンが多い。本書でも沢山の人が死ぬが、犯人探しとはちょっと違う。しかしキチンと推理小説になっていた。山口雅也さんの「生ける屍の死」に似たような印象を持ったな(お話しは全く違うけどね)。
胸の病のため入院していた榊原恒一は、入院先の病院で眼帯をした不思議な少女、見崎鳴に遭遇する。
退院後、少し遅れて夜見山中学の3年3組に転校してきた。恒一は同じクラスに病院であった見崎鳴を見つけ話しかけるが、クラスの中で見崎鳴については誰も話しかけている様子がなく、いないものとして扱われているようだった。鳴も恒一に「自分に話しかけないほうがよい」と忠告する。
その理由はこの学校の3年3組ではある年になると、生徒およびその肉親が謎の死を遂げるという噂によるものだった。
「3年3組の謎の死」の現象を防ぐには色々な方法が試されているようだ。見崎鳴をクラス全員が無視しているのも謎の死を防ぐための活動らしかった。
しかし、その活動も虚しく3年3組では5月についに死者が出てしまう。その凄惨な死に方に3年3組の生徒は「ついに現象が始まった」と感じ恐怖におののく。
「謎の死の現象」でわかりかけていることは以下のようなこと。
- クラスに「死者」が紛れ込んでいること
- 現象の対象となるのは、生徒および生徒と血の繋がりのある肉親、及びクラス担任の教師
- 「死者」は以前の「3年3組の謎の死」の現象で死んだ人の誰か
- 「死者」は周囲の記憶を改ざんする
- 現象が完了すると「死者」はいなかったものとして痕跡が消える
物語の後半では「死者」をどうやら殺してしまえば、現象が止まるらしいという推測のもと、恒一と鳴たちの「死者探し」に焦点が絞られる。「果たして死者は誰なのか?」「この現象は止められるのか?」
いやー、素晴らしかった。ホラー小説かなとおもいきや、キッチリと推理小説になっている。ある特異な状況下での殺人事件だが、犯人探しはご都合主義的な超常現象に頼って解決ということではないところがよいね。
しかし、理由はここでは書かないが、アニメ化は結構な冒険だなーと感じた(本書を読めば誰でもそう思うはず)
あと、登場人物が結構悲惨な死に方をする。そういう意味でも、映像化となるとちょっと見るのをためらったりするな。
アニメの方は今回のクールだけなら3月には終了してしまうが、勇気を出してちょっと見てみようかなと思う。が、やっぱちょっと怖いからもうちょい考えるっす。