りょーち的おすすめ度:
遅ればせながら東野圭吾の「容疑者Xの献身」を読んだ。(遅い?)
東野圭吾の本は何冊か読んでいるのだが、そんなに熱心なファンでもなく直木賞を受賞したときも話題だなーとは思いつつ手を出さなかった。ガリレオシリーズはまだ「
探偵ガリレオ」しか読んでないのだが、文庫本が発売されたことと映画化されたことを機会に読んでみようと思ったのだ。
一言で言えば、すごいね。この本。あらすじについては映画化されたこともあるので
容疑者Xの献身(映画サイト) をご覧になればよいかと思う。
読者から見れば、本書は「フーダニット(犯人当て)」の要素は低い。なぜなら小説の冒頭で殺人の経緯が詳細に書かれている。読者が冒頭で犯人を知るミステリー小説は多々あるが、その際の読ませ方としてはこんなパターンがある。
(1)「探偵が論理的思考により犯人を追い詰める過程を楽しむ」
(2)「実は読者が(登場人物が)想定していない別の真犯人が存在した」
(3)「実はその犯罪はより大きな犯罪の一部でしかなかった」
(4)「実は犯罪そのものが存在しなかった」
などが挙げられる。本書は上記でいえば(1)が該当するように思える。
読者もそう思いながら読み始める。ここでもう読者はだまされている。
多分この視点がこの作品の素晴らしさだと思う。これ以上書くとネタバレになりそうなので、是非手にとって読んでみてほしいっす。
本書には天才が二人登場する。帝都大学准教授の湯川学、そして高校教師の石神哲哉の二人だ。本書はこの二人の頭脳戦が読みどころだね。湯川がまだ帝都大学の学生時代、同級生に石神という天才がいた。互いの能力を認めあうまでとなった湯川と石神は時を経て湯川は物理学者、石神は数学者へとその道を分かれた。
そしてある殺人事件を機会に二人の天才が再開する。
石神の用意周到に計算されつくしたアリバイをどう崩していくか。これが先ず(1)の読み方だね。
まあ、読んでみれば分かるが、おそらくこの事件は湯川でないと解くことができない難問であることは間違いない。正確に言えば「石神を知る湯川でないと解けない事件」だった。
互いに認め合う二人を象徴するような台詞がある。
「誰にも解けない問題を作るのと、誰にも解けない問題に答えるのと、どちらが難しいか」
今回の出題者は石神であり、回答者は湯川なのだが、湯川は「誰にも解けない問題を作る」ほうが難しいと考えていた。この一言でも、石神を思う湯川の気持ちが伝わってくるね。
しかし、本書のラストはちょいと目頭が熱くなったね。
泣く一歩手前だったよ。花岡靖子に対する石神の思いってちょいと怖いね。
石神の思いが純粋だったためにストーカーっぽい雰囲気はあまりかもし出されなかったが、状況だけ見れば花岡靖子に対する石神行動はストーカーに近いものがあるな。現実にあるとちょっと怖いよなぁ・・・
本書を読み終えて「これを映画化するのは、かなり難しい」と思った。この通りに演技しろったって、できないよ。
映画のキャストは石神が堤堤真一で、花岡靖子が松雪泰子のようだ。
堤真一は確かドラマ「
やまとなでしこ」で数学者の役をやっていた。それで、この役に抜擢されたのかどうかは知らないが、ちょいと映画も見てみたい気がする。ラスト、どうなんだろうね・・・ これ映画だと泣く人結構いるんじゃないか?
福山雅治と堤真一はどちらも寡黙なイメージがあるんだけど、どうやらどちらも楽しい人っぽい。
松雪泰子の靖子役は結構イイのかもしれんないね。(フラガールのノリではないと思うので)
うーむ、映画も見に行こうかなぁ・・・(って言ってもきっと1年後くらいにフジテレビで放送するんだろうから見なくてもいいかな?)