高嶋 哲夫
文藝春秋 (2003/04)
売り上げランキング: 26918
りょーち的おすすめ度:

こんにちは、小野みゆきです(嘘です)。
高嶋哲夫といえば、日本を何度も壊しかける(?)壮大なストーリーを紡ぎだす作家として知られている。
高嶋哲夫の作品の印象は、一般人だがある部分においてのスペシャリストが国家の存亡ともいえる難局に立ち向かい、艱難辛苦を乗り越え平和をもたらすよーな胸のすくストーリーが多い。なので、読後感はわりと爽快なものが多い気がする。
本書もその路線を踏襲しており、読者の期待を裏切らない一冊になっている。
本書は戦場カメラマンの西崎勇次のいる北アルプスと、西崎の妻で現在別居中のフリーライターの松永慶子のいる東京との二つの視点で物語が進んでいく。
戦場カメラマンの西崎は北アルプス付近で山中に落ちていく火の玉を目撃する。高校時代の同級生で東日新聞に勤める落合に連絡を取り事実確認をしてみたが、新聞社には自衛隊の航空機がエンジントラブルを起こしたが、無事基地に戻っているとの情報しか入っていないという。事の真相を確かめるため体制を整え、西崎と落合とで墜落地点まで行くことにした。
とはいえ、現地は吹雪で、しかも入山は自衛隊により制限されていた。
松永慶子は別の事件を追っているはずだった。慶子は横田基地に潜入し、銃撃戦の末逃走中の平田トシオの足取りを追っていた。慶子が平田のアパートに潜入したとき、平田の命は銃撃戦で瀕死の重傷を負っていた。
山中の西崎勇二と落合は墜落地点へと向うが、吹雪の中何者かに銃撃される。戦場カメラマンとして幾つもの紛争地を渡り歩いた西崎もまさかこの日本で自分が銃を向けられるとは思っても見なかった。西崎と落合に銃を向けているものは何なのか。
そして、彼らは吹雪の中日本の自衛隊員である伍島という男と出会う。そして西崎は伍島からこの山で何が起こっているのかの真相の一端を耳にする。それは西崎の想像をはるかに超える恐ろしい事実だった。
それは日本にある米軍基地に核弾頭を搭載したステルス型爆撃機が存在し、しかも核を搭載したその飛行機がこの北アルプスに墜落したというのだ。伍島は墜落機を確保することを目的とし、入山したが、武装した北朝鮮のスパイがこの核を狙いこの北アルプスに潜伏しているという。
極寒の北アルプスに残された西崎、落合、伍島たちは核が爆発することを食い止めることができるのか?
雪山と地上との連絡には無線が利用されている(勿論携帯電話などは使えない・・・)。この無線でのやり取りがストーリーに上手く組み込まれており、不安、焦燥感などを上手く表現していると思う。
仕事に感けて家庭を顧みなかった西崎は山の中で慶子と子供のことを思い、下山した暁には一緒に暮らそうと考えはじめる。慶子と西崎は再び家族として生活できるのか?
このあたりの家族愛的な部分も読みどころなのかなと思う。最後はちょいと感動するっす。
なお、本書は映画化されるようである。この映画、多分すごい撮影が大変そうな気がする。俳優の方々もスタッフの方々も忠実にこれを再現するとなると結構命がけになりそーな・・・
映画に関しての情報は下記に公式サイトがあるよーだ。
映画:ミッドナイト イーグル『ミッドナイト イーグル』オフィシャルブログ映画 :ミッドナイト イーグル
公開日:2007/11/23(金)〜
主題歌:「はるまついぶき」/Bank Band 作詞・唄:櫻井和寿 作曲:小林武史(
ap bank)
監督 :成島出(なるしまいずる)
原作と少し名前が異なっている部分もあるが下記のようなキャストのよーである。
西崎優二:大沢たかお
有沢慶子:竹内結子
落合信一郎:玉木宏
佐伯昭彦:吉田栄作
冬木利光:袴田吉彦
斉藤健介:大森南朋
宮田忠夫:石黒賢
渡良瀬隆文:藤竜也
ストイックに生きる西崎役に大沢たかおはピッタリかもしれない。
映画も気になるところである。