高野 和明
文藝春秋 (2007/04)
売り上げランキング: 151
りょーち的おすすめ度:

こんにちは、よしかわ進です(嘘です)。
最近(といっても数年前だが)デビュー作と現在の作風がかなり違って面食らった作家が二人いる。
ひとりは、五十嵐貴久。デビュー作の「リカ」は貴志祐介のようなおどろおどろしさを持っており、「うわ、この人エグイなー」と思ったりしたのだが、日曜のドラマにもなっている
パパとムスメの7日間 を見る限りでは、「えっ?こんな作風だっけ?」とちょいとビックリしてしまった。
で、もう一人が、高野和明である。「13階段」や「グレイヴディッガー」で割と重めの作風だった(と思われる)作者が書いたこの「幽霊人命救助隊」を読んでちょいと驚いた。
自殺してしまった浪人生の裕一は、死後の世界のような臨死体験をした。そこでは、天国と地獄の協会のような場所で、八木というさえない中年男性、美晴という若い女性、市川という元ヤクザのおじさんが存在していた。
彼らは天国でも地獄でもないこの世界に死んでからずっといるようであった。
裕一と彼らの共通点は何れも自殺で死んだことのようである。そこに、神様が(この神様ホントにお気楽な神様なんだが)降りてきて「現世にいる自殺志願者を100人救助しなさい」と彼らに告げた。
どうやら、100人の自殺志願者を助けると現世に戻れるようである。自殺者救助に要する時間は7週間(49日?)。
そして、彼ら幽霊達の人命救助が唐突にスタートするのだ・・・
うーむ。なかなか面白かった。
自殺志願者を助けるために神様から授かった道具は4人の仲間同士で連絡を取り合うためのトランシーバと救助人数をカウントするカウンター。そして自殺者を呼び止めるための拡声器(メガホン)のみ。
彼らは、実世界のモノに直接触れることができないという制約があり、そこが本書を面白くさせている要因だったりする。幽霊ってわりと人を超越した存在だったりするような気がしたのだが、移動手段は電車だったり、バスだったりと公共交通機関を使い、自殺志願者に向ってメガホンで自殺志願者を説得する。この説得も自殺志願者に、直接的な働きかけは然程できず、せいぜい昔のことを思い出させたりする程度である。
テーマとしては非常に重いテーマだが、かなりライトに書かれており、エンターテイメント小説として不謹慎かもしれないが楽しめる一冊である。
最後の救助者はかなり難易度が高かったが、それを乗り越える彼ら4人も人として(幽霊として)ステップアップしたよーである。
しかし、本書を読み「こんなに自殺志願者がいるのかー」と思ってしまうのは私だけでしょうか?
だが、メーターが黄色や青色の人は結構いるのかもしれないっすね。
最近出版された
6時間後に君は死ぬ はどうなのかな。ちょいと気になるっす。
■他の方々のご意見(結構好評だな)