ミヒャエル・エンデ
岩波書店
売り上げランキング: 4035
おすすめ度の平均:
こうしてレビューを書いている時間は無駄なのでしょうか?
ベッポじいさんが良い
今の時代にも驚くほど当てはまります
プレゼントに。
歩みの遅い亀が勝つ。
りょーち的おすすめ度:
こんにちは、貴家堂子です(嘘です)。
ミヒャエル・エンデの名作童話のモモを久々に読んでみた。ここ何年か読んでいなかったが、久々に読んでやはりその素晴らしさに感動っす。
ある町の円形劇場に突然住み着いていた小さな女の子のモモ。浮浪者のような身なりをしたモモはまだ小学生ほどの年齢でしたが、親も兄弟もなく、一人でこの円形劇場に住んでいました。町の人はすぐにモモと仲良くなりました。
モモには人にはできないあることができたのです。それは「人の話しを聞くこと」でした。町の人は何か悩みがあったりすると次第にモモを尋ねるようになりました。モモには待ちの人々の悩みを解決するよいアイデアを出したりするわけではありません。しかし、不思議とモモと話していると自分の頭の中で埋もれていたアイデアがまとまってきたりするのです。ソクラテスの弁証法に近いのかもしれませんが、熱心に人の話しを聞くことにより相手に何かを気づかせるということがモモにはできました。
そんなモモは町の子供達といろんな遊びを考えて遊ぶようになりました。モモたちの時代には今の時代のようにゲームなどは存在してません。しかし、自分達で面白いアイデアを考えて日々遊ぶことができたので、次第にモモは町の子供達にとってもなくてはならない存在になっていたのです。
そんなモモたちの町にある異変が起ころうとしていました。そしてその異変は誰にも知られることなく静かに、しかし確実に起こり始めていたのです。
モモたちを待ち受けていたのは灰色の男たちです。彼らの目的は人から「時間を奪う」ことにありました。この時間泥棒たちはいつも灰色の葉巻を吸い、生きているのです。
彼らはそこに存在しているのですが、人には意識されないような術をもっていました。音もなく町の人々に忍び寄り、恐ろしい計画を企てるのです。
今までのんびりと生活をしていた町の人々に「君は時間を無駄に使っている」と持ちかけるのです。そして今までにどれだけの時間を無駄にしているかを電卓などを駆使し説明し、効率的に時間を利用し、あまった時間を「時間貯蓄銀行」に貯蓄させるのです。
人々はそうやって灰色の男達に唆され、次第に時間を節約し、無駄なことをしないように過ごすようになっていきました。今までのようにモモのところにやってくる人は誰もいなくなってしまいました。モモは古い友人達を訪ね歩きましたがみんなとても忙しそうです。そうすることにより、次第にモモの友人達はまたモモのところにやってくるようになったのです。
しかし、このことをよく思わない人たちがいました。そうです。灰色の男たちです。モモの行動は結果的に人々の無駄な時間を搾取していた灰色の男たち奸計を阻止することになっていたのです。モモは灰色の男達に恐れられる存在になったのです。そしてモモに刺客が送られることになりました。灰色の男はモモに素敵なお人形(ビビガール)を与えましたがモモは興味を示しません。それどころか、逆にモモの「人の話しを聞く」特技により自分達の悪巧みについて知らず知らずのうちにモモに打ち明けてしまっていたのです。
灰色の男たちの恐ろしい計画を聞いたモモはみんなに知らせるために友人達に灰色の男について打ち明けましたが誰もその話しをまともに聞いてくれません。
灰色の男たちはモモを攫ってしまう計画を立てていたころ、モモの住む円形劇場に一匹のカメがやってきました。カメの背中には「ツイテオイデ!」と光る文字が現れました。
モモは光る文字の通りカメについていきました。一方同じ頃灰色の男達はモモを探し出すために町中に現れました。しかし、モモは灰色の男に捕まることはありませんでした。
「さかさま小路」を抜けるとそこは時間の国でした。時間の国でモモは「マイスター・ホラ」という老人に会いました。マイスター・ホラはモモを時間の国に呼ぶためにカメのカシオペイアを使いに出したことを話しました。モモはそこで時間の源を見ました。このことをみんなに話そうと思い、モモは町へ帰って行きますが、町では大変なことが起こっていたのです・・・
時間の国での一日は現実世界での1年に相当するようで、モモはすっかり浦島太郎のような状態になっていました。モモがいないこちらの世界ではこの1年のうちに、時間泥棒たちの活動により、誰も彼も忙しそうにしていました。そして灰色の男達はモモの友人の観光ガイドのジジことジロラモと道路掃除夫のベッポにも、その魔の手を広げていたのです。
すっかり本当に一人ぼっちになったモモは果たして時間泥棒たちにどーやって立ち向かうのか、友達たちは救われるのか?
モモは童話という手法を取っていますがSFといってもよい内容です。本書では「時間」という概念が非常に重要な意味を持ちます。物理学的な絶対時間ではなく、人間が本来体感する時間は同じ時間でも長く感じたり短く感じたりするものです。
何か自分が好きなことに夢中になっているときの時間はあっというまに過ぎ去っていきますが、難しいことや嫌なことをやっているときの時間はとても長く感じられます。人間にとっての時間は自分の体感している時間がとても重要だと思います。そして全ての時間はどんな人にも平等に割り当てられています。
「時間を有効に活用する」という言葉はともすれば「如何に無駄なことをやらないか」という置き換えられやすいが、人間にとって本当に重要なことは「無駄」の中にあるのではと思う。ただ、その「無駄」はダラダラと過ごすということではない。
また「大人になる」ということは無駄な時間を削減し、仕事をするよーなイメージがあるが、最近になってロハスとかそーいった「ゆっくり生活を楽しむぜ」的な動きが盛んになり、ギスギスした感じがちょいと緩和されているよーな気もする(金持ちの道楽的なものかもしれんが)。
いま、全力で走っている人々は「モモ」を読んで貰うと、過去の自分を振り返る余裕を手に入れることができるかもしれないっす。
ちなみに、りょーちとしては時間の世界に旅したモモが目にした「時間の花」を一度でいいから見てみたいなあと思ったりした。りょーちの保有する小説の中でも再読率のかなり高い一冊なので、また何時の日かきっと読むであろう・・・
■他の方々のご意見(名作だし、かなり好評!)
なお、文庫本が出ているらしい。(購入した時には文庫本なんてなかったよ・・・orz)。
ミヒャエル・エンデ
岩波書店
売り上げランキング: 682
おすすめ度の平均:
現在進行形の物語
今まで読んだ本の中で一番面白いです!!
絶賛するほどではない
大人になると別の形で心にしみるかもね。
児童文学ということで…