りょーち的おすすめ度:

「最悪」という本で出会った奥田英朗さん。本書の「邪魔」が2冊目です。
近所の図書館でハードカバー版を借りてきて読んだづら。(本は買わずに借りれば置き場所にも困らないしね)
むむむ。なかなかよいですよ。
本書のタイトルの「邪魔」なのですが、何が邪魔なのかなと思いながら読んでみますといろいろ意味深なタイトルに思えてくるっす。
人は生きていく上で他人の力を借りて共存共栄していきます。自分ひとりで生きているといえる人は日本中探してもいないと思います。みんな他人に依存しながら生きているのです。日々の生活にて他人と素晴らしく上手くやっていければいいのだが、利害関係が一致しない場合・敵対する場合は、相手のことを「邪魔」と認識するのでしょう。
本書は、警察官僚の久野薫とパート勤めの主婦の及川恭子の物語である。
人は何かをきっかけに生き方、人生観が変わるものだがその動きは通常の人の場合、時間を掛けて徐々に変わっていく。例外な場合として自己の予想を遥かに越えるような体験をしたとき、瞬間的といっていいほど変化が見られるかと思う。
及川恭子の場合、夫が勤め先の会社に起きた放火事件の容疑者であることを悟ったときなのかと思う。急激な変化は冷静な判断を失う。及川恭子の場合、思考のベクトルは子供と自分を守ることを最優先させた。そのことは通常の場合でも誰もが選択する道だと思う。しかし、優先順位はあっていてもそれを実行するプロセスが間違っていては問題であろう。
折りしもパート先のスーパーでひょんなことから共産党系のメンバーと共に待遇改善運動に参加する。はじめは気が進まなかったが活動を続けていくにつれ、自分は「そこらへんの主婦と違うのだ」という変な妄想に取り付かれてしまう。
一方、久野はといえば、上司から同僚の花村の素行調査を上司から命令される。花村が現在付き合っている女は実は久野が結婚前に付き合っていた元恋人である。(そんなに世の中狭いのか・・・)。妻が他界し、やもめ暮らしの久野の素行も少し変。義理の母が気になり(って変な意味じゃないと思われます)ちょくちょく連絡をしている。
その後、別件で担当した、放火事件を調査していくうちに放火された会社の経理担当の及川(及川恭子の夫)に結びつく。さらにその裏には大倉という暴力団の影が見え隠れし、その大倉と花村がまた何故か繋がっている。
あと、渡辺裕輔っていう高校生も登場するが、この高校生がまた情けない・・・
大学に進学したいのだが、いまひとつまじめになれず、不良仲間と遊びほうけているが、親父狩りをした相手が、よりによって久野だった。久野に完膚なきまでに打ちのめされた裕輔はその後やくざ(=大倉)にいいように使われてしまう。
「世の中こんなに狭いのか?」と思うような小説だ。
物語は及川の夫の会社の放火事件を中心にことが運ぶ。事件事態は複雑ではないのだが、本書ではそれにまつわる人物の生き方が仔細に書かれている。普通に生きていては会うことのなかった3人が出会い繰り広げるドラマといえば、どーしても「最悪」を思い出さずにはいられない。
読み物としては面白い。ただ、ラスト付近の及川恭子の取った行動はりょーちの理解力ではどーしてもわからなかった。(何故そんなことを、あんた・・・)
なんとなーく、最悪を思わせる小説なのだが、どっちが好きかと言われたら、最悪の方を選ぶかなー。まあ、それだけ最悪がよい小説なのかなとも思った。(でも、「邪魔」もいいですよー)
で、冒頭に書いた「何が邪魔なのか」という命題については、りょーちは表面的にはわかった気がする。生きていくと「邪魔」に思えるコトや人がいろいろ出てくる。「邪魔だから死んでくれ」と思っても実際に行動に移すことはないと思うが、人間、どこでその一線を踏み越えるか、踏みとどまることができるか。
この小説の登場人物はどうもあまりにもその一線を踏み越えすぎなメンバーだったのかなー。
※
奥田英朗さん作品一覧
posted by りょーち at 18:06
|
Comment(2)
|
TrackBack(7)
|
読書感想文